悠久ナル過去ノ話
『諦めなさい。あなたが如何にか出来る闇の力ではありません』
「けどっ、けど…み、みんなが!!」
『見殺しにしろと言っているわけではありません、カービィ。耐える事もまた必要なのです』
「みんなが…みんなが酷い目に遭ってるのに、耐えてなんか居られないよッ!!!」
『……聞く耳を持ちませんね。仕方ありません』
「な、なにを…うわっ!?何このツボ!?だ、出してよう!!」
『お眠りなさい…その時が来るまで』
「だ、出してよう!!出してってばあ!!ねえ!!!」
…光の溢れる場所。
―――星の戦士を『魂封じの壺』へ封印してまいりました。
―――そなたの予想通りだったか。
―――はい。聞く耳を持ちませんでした。あれで星の戦士とはよく言ったものです。冷静に物事を判断出来ず、己の感情
に溺れて…
―――言うな。奴はそういう性格なのだ。今迄に幾多もの闇を打ち滅ぼして来れたのも、あのような性格であったからこそ
…ではないか。
―――そうかもしれません。しかし、彼は余りにも幼過ぎます。自らの感情の抑制も出来ずに、強大な闇を倒す事など…
―――物事を悪い方へ見過ぎるのがそなたの短所だ。
―――…。
―――我々が望みを託すに相応しい者は、奴しか居ない。神に祈ろうではないか。
―――神に祈るだなんて、非現実的な。
―――そなたは神を信じておらんのか。不信心な奴だな?
―――神などという存在が居るのならば、私はここに存在しません。
カービィは無理矢理入れられた壺の中で、夢を見ていた。
その時が来るまで、永遠に目覚める事の無い夢…
少なくとも、心地よい夢ではなかった様だ。
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「カー君、居るう?」
「あ、アドちゃん!どうしたの?」
「うん、実はね―――」
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「復活…した…?ホントなの!?」
「うむ…お前が倒したとばかり思っていたのだが…そうではなかったらしい」
「どうしよう、クリスタルもラブラブステッキも無いのに!」
「それを今考えているのだが…」
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「デデデ城が敵に攻撃されています!!戦況はデデデ側が絶対的不利、信じられないほどの闇の勢力です!!!」
「おかしいよ絶対!強過ぎるもん!!」
「何が起こったと言うのだ…!?まさか、別世界からの…」
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「貴様とは対照的な存在…混沌と無秩序を司りし絶対的なる闇の支配者…それが我らの主だ」
「今までのやり口とは全然違うじゃないか!!教えてよ…君に一体何があったの!?」
「何も無い。ただ絶大な力を与えられた。それだけの事だ」
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「見ろ。貴様の無力がこの様な結果を生み出した。この光景からは一つの教訓が得られる。何だか分かるか?」
「あ…み、みんなが……みんなが……ッ!!」
「所詮全てを決めるのは力だという事だ。愛、友情、信頼…その様な架空の幻想が何になる?」
「幻想じゃないっ!!それは…ぜんぶ…ぜんぶ、僕達にとって、とっても大切なもの―――」
「詰らん主張は止せ。貴様は何時しかこう言っていたな?『大切なものが多いほど、僕達は無限に強くなれる…僕達には
大切なものがたくさんある。相手を傷付けるだけの力には負けない』と」
「………」
「笑わせるな!!無限に強くなれる、だと?ではこの有様は何だ?大切なものが多い貴様達は相手を傷付けるだけの力
より強いのではなかったのか?」
「……違う、これは…これは…っ!!」
「架空の幻想を抱いた所で、所詮実力は上がらん。貴様達の言う『強さ』と我らの言う『強さ』は別のものだ」
「何だって…!」
「我らの『強さ』は『個々の実力』…誰の支えも要らない、己一人でも出せる強さの事。貴様達の言う『強さ』…それは大勢
で寄り添った時にしか生まれん軟弱な『強さ』だ」
「……ちが…!!」
「何処が違う?一人一人を集中的に狙われた結果、貴様達の星はもはや滅んだも同然…個々の実力があればこの様な
結果にはならなかっただろうな」
「………違う。寄り添って生まれる『強さ』は…決して軟弱なものだけじゃない…!!」
「…まだ認めんのか。ならば率直に言ってやろう。お前は負けた。お前の言う大切なものはもはやこの星には存在しない
。この星に今あるのは、闇への憎悪、己だけでも生き残ろうとする執念…他人に対する正の感情など、もう在りはしない」
「…っ!」
「残念だが貴様は殺せん。主が貴様の力を取り込みたがっている」
「………僕は絶対に、お前達の所になんか行かない!!!」
「ほう?ならば何時までその意地が続くか…試させてもらおうか」
****************
「…あれっ、こ…ここは…?」
『危ないところでしたね。カービィ』
「だ、誰?」
『安心しなさい。あなたの味方です。…カービィ、これから話す事は、あなたにとって辛い事かもしれません…しかし、もは
や方法はこれしか無いのです」
「……僕にとって辛い…?」
「それは―――」
****************
みんなが苦しむ声が聞こえる…僕に助けを求めてる…ダメだ…手が届かないよ…!
みんなが…みんなが僕の事を憎んでる……!!
―――カー君、何でアタシ達を置いて行っちゃったの…?何で助けてくれなかったの…?
―――カービィ、何故助けてくれなかったのだ…?わしは城を一生懸命護っておったのに…見捨てていったのか…?
―――カービィさん…何で一人だけ逃げちゃったんスか…僕達は一生懸命自分の星を…町を守ろうとしてたのに…
―――見損なったぞ!それでも同じ星の戦士か、カービィ!!!
―――卑怯だ!!
―――臆病者め!!
―――何が星の戦士だ!!
―――俺達を見殺しにしやがって!!
―――殺せ!!
―――カービィを追い出せ!!
―――奴を信用するな!!
―――偽善者め!!
「うわあああああああああああああああああああ――――――――――っっっっっっっっ!!!!!!!!!」
****************
「……」
月明かりの中、小高い丘の上に立つ一本の杉の木の下。
そこで涼んでいる内に眠ってしまった少女が、目を覚ました。
「…今の夢、何だったんだろ…」
大勢の命達が『あの子』を憎んでいる幻覚を見せている『何か』の夢―――
(アタシが見てるのに気付いて、『何か』はアタシに近付いて来て…それで…)
とんとん。
「きゃっ!!」
急に肩を叩かれて振り向くと、そこには見慣れた少年の顔。
「何ボケッとしてんだ?頭イカれたか」
「もう、驚かさないでよっ!!!」
「もう就寝時間はとっくに過ぎてるぞ。お前が夜に涼みに出るのは皆知ってるけどよ、規律は守れよな。歴史バカ」
「なっ、何だとお!?勉強なんてろくすっぽ出来なくて誤魔化す為に実技ばっかりやってる奴にんな事言われたかないね
っっ!!!」
「んだと!?言わせておけば調子に乗りやがって!!大体なあ、お前は夢を見過ぎなんだ!!もうちょっと現実に目を向
けろよ!!」
「ふーんだ。また先生にあんたが隠れてコーラを学園内で飲んでましたーって言い付けちゃおっと」
「あっ、てめ!!何で知ってやがんだ!!こら、待てェ!!」
「待ったないよーんだ、やーいやーい!!ノーローマぁ!!アハハハハハハ!!!」
二つの人影は、丘を下って行った。
…再び、光の溢れる場所。
―――あの時代がよいかと思われます。
―――うむ。彼奴こそ、我らが探し求めていたものを守っている者だ。
―――しかし、当人には何の力も潜在してはおりませんが…
―――分かっておらんな。当人が普通の人間だったとしても、あれは力を与えてしまう。問題は彼奴が与えられた力を自
在に操れるかということだけだ。
―――その点でしたら、問題は無いかと思われます。『主』の術を覗けるほどの者ですから。
―――素質と実際に出せる力量が必ず同じとは限らんぞ。その時を待つしかない。待つしかないのだ…
―――僕は何をしてるんだろう?
―――僕は何の為に生きてるんだろう?
―――僕の強さって、一体何なんだろう?
―――僕をまだともだちと思ってくれてる人はいるのかな?
―――僕は…
―――ドコヘイキツクンダロウ?
始まりのお話。
楽しんでいただけたかなぁ…
暗めだけど、これが真実。
これが、全ての始まり。
NEXT STORY…【或る世界の入り口】
★星影流用語辞典(おっ何か変わったぞ)
光の溢れる場所…どこでしょうね?
別世界から…新たな登場人物の予感。
混沌と無秩序を司りし絶対的なる闇の支配者…こんな強そうなキャラが自分に書けるのかどうか今更疑問です…。
『強さ』…とりあえず小説のテーマの一つ。書いててワケ分からんくなったっす。教訓・自分の力量を考えましょう。カービィ
の方針、変更し過ぎじゃあないかね。
主が貴様の力を取り込みたがっている…闇が光をどうやって取り込むんだろうか。それ以前に何故闇が光を取り込みた
がるんだろうか。いやそれより…
みんなが僕の事を憎んでる…ごめん。やり過ぎた。暗過ぎ。およそカービィらしくないワ。
『何か』…何でしょうね?………モロバレの予感が(汗
少女…多分分かる。エス考(無理矢理略す。長いので)読んでいれば、分かる。
少年…上に同じ。
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