――丘の上は勿忘草の花畑―― 『・・・ありがとう・・・さようなら・・・』

         ・・・今でも・・・勿忘草を見ると思い出す・・・

        ・・・自分の胸の奥深くにしまったはずなのに・・・

             ・・・あの・・・3年前のことは・・・

・・・・・・1日目の夜・・・・・・

サァァァァァァァァァァ・・・

「うわ〜・・・まだ振ってるよぉ」

その日は、朝から雨が降っていた・・・

「1人で居てもつまんないし・・・どうしようかなぁ?」

・・・コンコンッ

ノックの音が聞こえた

「あれ?だれだろ?は〜い!今開けま〜す!」

・・・カチャッ

「は〜い♪・・・あれ?」

たしかにノック音が聞こえたのに、ドアを開けるとだれも居なかった・・・

「気のせいかなぁ?」

・・・僕は何気に横を見た・・・すると・・・

「だ!大丈夫?!」

青い髪をした男の子がぐったりと座っていた・・・

「少しだけ・・・雨宿り・・・させてくれますか・・・」

「OK!OK!そんなことより早く家に入って!!」

僕はその子をベットに乗せて(乗せるのが大変だった・・・)お湯を沸かしてあげた

「・・・あの・・・君は・・・だれですか?」

青い髪をした男の子が、話し掛けてきた

「僕?僕はカービィだよ♪君は?」

「僕はウィス・・・ルリアード・ウィス・・・」

「んじゃあ、ウィスって呼ぶね♪あ!お湯が沸いたよ〜♪」

キッチンへ行って、この前買った紅茶を入れた

「はい、紅茶だよ♪飲んでみて!」

「ありがとう、いただくね」

ウィスはその紅茶を美味しそうに飲んでくれた

パッポーパッポー

僕の家の鳩時計は、昼の12時と夜の9時に鳴る

「あ、もう9時だ!そろそろ寝よう♪」

「・・・あ・・・ベット取っちゃってごめんね」

ウィスは申し訳ないと言う顔で言った

「いいよ♪僕はソファーで寝るから♪」

家の電気を消して、スタンドの明かりをつけた

「それじゃあウィス、グンナ〜イ♪」

「うん、お休みカービィ」

うとうとしてきてもうすぐ夢の中という時に、ウィスが小声で言った

「カービィ・・・ありがとう・・・」

僕は返事をするまもなく、眠りについた・・・

・・・・・・2日目の朝・・・・・・

僕は台所から聞こえる音で目がさめた・・・

コトコトコトコトコト・・・

「おはよぉ・・・ふぁあぁぁぁ・・・」

僕はまだ眠気に襲われていた・・・

「おはよう、昨日はありがとう!お礼にご飯を作ったんだ、どう?」

「うわぁぁぁ!!ありがとう!!!!これ、ウィルが全部作ったの?!」

ご飯と言う言葉で一気に目がさめた・・・

「うん、僕料理は得意なんだ!」

「んじゃ、いただきまぁぁぁぁぁぁぁす!!!!!!!」

ウィルが作ってくれた朝ご飯は、今まで食べたことがないくらい美味しかった!

・・・食べ終わって・・・紅茶を飲んだ・・・

「ねぇ・・・カービィ」

「なに?」

「・・・僕・・・ここにいてもいい?」

断ったら泣き出してしまいそうな顔だった・・・僕は笑って・・・

「いいよ♪ご飯をつくってくれるんだったらね♪」

っと・・・言ってあげた

「ありがとう!!」

ウィルは、飛びっきりの笑いをみせた

・・・外はまだ雨が降っていた・・・

・・・・・・2日目の昼・・・・・・

僕達2人は、家の中でかくれんぼをして遊んだ

最初は楽しかったけど・・・かくれんぼを3回ぐらいした時・・・事件は起こった

「もーいーかーい!」

「もーいーよー!」

ジャンケンで僕が鬼になった

「さ〜て!ウィルはどこかなぁ♪」

がさがさがさ・・・がったん・・・ばたばた!

・・・見つからない・・・

「あれぇ?どこだろう・・・」

だだだだだ・・・ばったん!きぃぃ・・・ぱたん

僕はおかしいと思って、ウィルを呼んだ

「ウィル〜!降参だよ〜!出てきて〜!」

・・・・・・・・出てこない・・・

もう一回呼んでみた

「ウィル〜!!どこぉ?!」

・・・・・・・・やっぱり出てこない・・・

そのとき・・・

コトン・・・

物音がした

「物置からだ」

僕はドキドキしながら物置のドアを開けた・・・そこには

「ウィル!!!」

青白い顔をしたウィルが横たわっていた・・・

「ウィル!どうしたの?!ウィル!ウィル!!!!!!!」

・・・それからウィルは、高い熱を出して、丸2日も寝込んだ・・・

・・・・・・4日目の朝・・・・・・

「カービィ、朝ご飯だよ〜!」

ウィルの声だ・・・僕は飛び起きた!!

「ウィル!なんともない?大丈夫?」

「もう大丈夫!ほら!ぴんぴんしてる!!」

そう言って、ガッツポーズをしてくれた・・・けれど、顔色が悪かった・・・

食卓の上には、美味しそうな朝ご飯が乗っていた

2人でご飯を食べてふと窓を見ると・・・空が晴れていた・・・

「お願い・・・聞いてくれる?」

ウィルは言った

「なに?」

「僕のあとについてきて」

そういって家を出て行った

僕は言う通りになってウィルの後をついていった・・・

・・・・・・4日目の昼・・・・・・

「うわぁ・・・」

ウィルは、丘の上の花畑に連れて行ってくれた・・・勿忘草が沢山生えていた・・・

「すっごいねぇ!こんな所があったなんて!」

僕ははしゃぎながら花畑を走り回った

「僕はね・・・勿忘草が大好きなんだ・・・青くて可愛い・・・カービィ、そう思わない?」

「うん、まるで・・・ウィルみたいだよ!ウィルの髪は青くて綺麗だしね!」

サァァァァ・・・

風が吹いた・・・風がウィルの髪をなびかせる・・・青い髪が綺麗だった・・・

「カービィ・・・死って・・・怖いのかな・・・」

「え?」

なんだか不思議な質問をされて、一瞬手間取った・・・

「・・・あ、ごめん・・・気にしないで・・・」

声が小さくて・・・病弱そうだった・・・

僕は話を変えようとした

「ね!ねぇ!仮にも病みあがりだしさ!日も暮れて来たから、そろそろかえろ!!」

ちょっとわざとらしかったかもしれない・・・

「・・・うん」

・・・やっぱりちょっと病弱そうだ・・・

僕は・・・ちょっと心配だった・・・

・・・・・・4日目の夜・・・・・・

・・・ウィルが倒れた・・・

・・・熱がひどい・・・急いで医者を呼ぼうとしたが・・・

丁度台風が来ていて・・・外に出れる状態じゃなかったし・・・電話もつながらなかった

・・・僕は、泣きながらウィルの前に居た・・・

「聞いて・・・くれ・・・る?」

ウィルは苦しそうに言った・・・

僕はうなずいた・・・

「・・・僕は・・・病院から抜け出して・・・きたんだ・・・」

・・・え?・・・

一瞬、僕は凍りついた・・・

「生まれた時から・・・不治の病で病院に・・・入院してたんだ・・・」

・・・悲しみ・憎しみ・自己嫌悪・後悔・・・そんな気持が一気に押し寄せてきた・・・

「それで・・・あの夜・・・医者から・・・もって4日しか生きられないって・・・言われて」

・・・もう聞きたくなかった・・・

「雨の中を・・・走っていったら・・・君の家があった・・・だから・・・だから・・・」

・・・ウィルも・・・床も・・・なにんにも見えなくなるくらい泣いた・・・

「カービィ・・・ごめん・・・ごめんね・・・今まで隠してて・・・」

「あやまらないでよ!僕は・・・怒ってもないし・・・君のこと嫌いになったりしてないよ!」

「・・・僕が・・・僕が死んだら・・・」

「いやだ!そんなこといわないで!ウィルは死なないもの!いやだ!いやだぁぁ!!」

その時・・・ウィルが僕の頭に手を置いた・・・

「カー・・・ビィ・・・最後のお願いだから・・・聞い・・・て・・・」

涙をこらえた・・・それで止まるものではなかったけれど・・・

「・・・僕が死んだら・・・あの・・・あの勿忘草の花畑に・・・僕を埋めて・・・」

「うん・・・」

僕はウィルの手を握り締めた・・・

「カービィ・・・」

「うん・・・」

「最後・・・の・・・お願い・・・聞いてく・・・れて・・・」

消えてしまいそうな声だった・・・

「・・・・あり・・・・が・・・・と・・・・・・・・・う・・・・・・・」

・・・パタ・・・

僕の手から、ウィルの手がすべり落ちた・・・

・・・ありがとう・・・それがウィルの最後の言葉だった・・・

「ウィ・・・ル?ウィル?ね・・・寝てる・・・だけだよね・・・うん、って言ってよ!・・・ウィ・・・」

いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!

                  ・・・嵐がやんだ・・・

            ・・・時刻はもう朝方の5時になっていた・・・

            ・・・僕は願い通りあの勿忘草の花畑に・・・

               ・・・ウィルを埋めてあげた・・・

            ・・・二度と青い綺麗な髪のウィルは・・・

                ・・・見ることは出来ない・・・

                   ・・・さようなら・・・

                    ・・・ウィル・・・


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