――身軽に見えたあの人も大きな荷物を持っていて、 大きくて綺麗な肌触りの良い袋の中に、 黒くて、見るからに重そうな物が ぎっしりと詰まっていた。 大事な頼まれ物なのだと、 届け先が見当たらないと、俯きながら言った。 期限は無いと渡されたその日から、 既に数年、経ったという。 聞き出した届け先を僕は知っていて、 急いでそこへ向かう。 やっと荷物が降ろせるねと笑う余裕が出た頃、 僕らは枯草を見た。 枯草と、倒木と、かちかちの地面と、 あの人の顔が下を向く瞬間を、 僕は一度に見た。 数刻たって。 ありがとうと笑って、 あの人は駆けて行った。 荷物はもちろんそのままで、 随分深い足跡を残して、 笑顔のままで駆けて行った。 袋が破れてしまう前に、 あの人が仕事を終わらせられますように。