神より与えられし命。
人の身に余る力。
故に汝、奇跡と代償にその身は朽ちてゆく。
何も知らぬ神の子らよ、選ばれし奇跡は汝の手に
救われぬ者達は汝が手で
今、世界と世界をつなげる力を…
ある日、僕は名も無き場所にいた…
「おい!てめぇ!人にぶつかっといて何も言わずに行く気かぁ?!」
町を歩いていると突如、筋肉の塊みたいなオニイサンに絡まれた。
いや、こうまで人が多いとぶつかるのは当然じゃないだろうか?
「はぁ…はいはいごめんなさい、これでいい?」
と、理不尽にそう言われたせいか、僕は相手の神経を逆なでする言葉で謝ってしまった。
「で?こんなところに連れ込んで何のつもり?」
横にある赤い煉瓦の壁、少し汚い路地裏、そこに連れ込まれた僕の前に居るのはさっきの筋肉塊(通称)とそ
の仲間であろうガーリー君(通称)。しかし、おもしろいくらい対照的な体型だ。
「あぁん?お前なぁ、俺にぶつかって碌に誤りもせずに許されると思っているのか?」
「世の中そんなに甘くはないぞぉ?」
「はぁ…」
なんかこの町に着いてから何回ぐらいかこんな風に絡まれた。
何でも連れの女性曰く「いじめてオーラ」なる物をほんの少し放出しているらしい。
そんなの良い迷惑だし放出した覚えもない。
「僕、君たちにぶつかった覚えはないんだけど?第一こんなに人が多かったらぶつかるのなんてしょうがない
よ」
さっきとは違いなるべく優しい言葉で言ってやる。
で、どうやらそれがお気に召さなかったらしい、突如筋肉塊(通称)の拳が飛んできた。
――――その拳をギリギリまで引きつけてから避ける。
そして相手の動きが止まった瞬間顔面に思いっきり蹴りを入れた。
――――ガーリー君(通称)に。
「が、ガーリーィィ(愛称)?!!」
ガーリー君、後頭部から地面に着地と同時にレベルアップ!(通称)が(愛称)にランクアップしました。
なんて考えている間に、筋肉塊(通称)の攻撃…
がくる前に筋肉塊(通称)はボグッという音とともにガーリ−君(愛称)と同じく地面に倒れ伏した。
「あ、なんだ無事だったんだ?」
「助けて損をした、等と言うなよ、後一歩遅ければどうなっていたかもわからん」
―――この二人はさっきの「ボグッ」については何とも想わないんだろうか?
「明らかに立てちゃいけない音がしたんだけど…」
僕のその意見は青い髪の少女に見事なまでに一蹴される。
「あのねぇ、私たちは不良に絡まれてたあんたを助けてあげたのよ?少しは感謝してくれても良いんじゃない
、フィルス君?」
フフンっと似合わない仕草でくせっ毛を掻き上げる。ワテルド、それはさらさらヘアーの人にしか似合わない
と思う。
「ワテルド、似合わないぞ」
と、僕の気持ちを代弁するかの様なタイミングでもう一人の赤い髪の青年が言う。
なお、さっきの音はこの青年が筋肉塊(通称)の後頭部を殴った音だ。
「あぁ、そういえば二人ともお城の方はどうだったの?」
そう、現在赤髪の青年を吊し上げて叩いている少女に問う(よく持ち上げられるな、片手で)この二人はこの
街の丘の上にある城――ラティス城――を下見に行っていたのだ。
何の下見かと言えば…
「ん〜思ったより警備は手薄ね、夜になったら交代があるだろうし、その隙を狙って裏口から侵入よ」
そう、僕らは泥棒をするためにこの街にいたりする。
「ふ〜ん、今回の目的ってなんなの?」
こういう場合、なぜか僕には目的の品物なんかが直前まで教えられない。
「ん、レイム説明よろしく」
レイム、というのはもちろん赤い髪の青年である。
「平然と言いやがる。……今回狙う品物は基本的に二つ。この城の城主は根っからの武器コレクターでかなり
の武器が贋作真作含め宝物庫にあるらしい。オレ達が狙うのはその刀と対になるもう一つの刀と、ワテルドの
言っている例の本だ」
その刀、というのは僕が腰に差している刀、名刀「飛翔風」
何でも夫婦剣の類らしくて、もう一つ「陣嵐斬」と呼ばれる刀があるらしい。
そして例の本、これが今回の最大の目的である。
続く
次の話を読む
読むのをやめる