出会いは別れの始まり。 別れた後、二度と会えないかも知れない。 ぼくは、初めて二度と会えない辛さを… 悲しさを知ったんだ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 噂が広がった。 孤独な…孤独『だった』竜の噂が。 森の静寂は破られた。 竜は涙を流した。 若者も…。 『フレンド』 〜三日目…別れ〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この日が…最後だった。 でも、本当は、 出合った時から終わっていたのかも知れない…。 朝。 周りの騒がしさに起こされた。 なんだろうと外を見ると、 みんな森を目指していた。 そう…ライクの居る、 立ち入り禁止の森を。 ぼくは、慌てて外に出た。 ブロントバードや、プテランが、 凄い速度で飛んで行く。 ワドルディが通り過ぎようとした。 ぼくは慌てて呼び止めた。 「ねぇ!何があったの!?」 「カービィさん! オイラ、怒られなかったっス!!」 ワドルディは、相当興奮していた。 「ブロントに言っただけっス! 大王様が…オイラ!誉められたっス! 大王様が竜が見たいっス!!」 ワドルディは、そのまま走り去った。 ワドルディの言葉は滅茶苦茶だったけど、 何が起こっているかは、なんとか把握できた。 ぼくも森へと急いだ。 森の入口にはボンカースが立っていた。 近くにある看板には、 『竜をデデデ大王様に見せた者には、 1000000G』 と、書いてあった。 …デデデは、ライクを殺したりしない。 きっと、興味が湧いただけだ。 でも… ぼくは、ボンカースに見られないように、 そっと森に入った。 いつもの泉があった。 誰も居なかった。 ぼくは、複雑な気持ちで泉に近づいた。 そのまま、泉に飛びこんだ。 泉の中に、ライクの姿が見えた。 ぼくは、まっすぐにライクに近づいた。 ライクもぼくに気付いた。 泉の底で、ぼくらは見つめ合った…。 「カービィ…」 水の中なのに、声がした。 ぼくは、泉から出ても大丈夫だよ、と合図した。 ぼくは水面に顔を出し、 ライクも恐る恐る顔を出した。 ぼくは岸にあがり、ライクはそのままでいた。 …最初に会ったときのように。 「人が…森の中にいっぱい居るの。」 …ライクが、呟くように言った。 「やっぱり、昨日の人が…」 ワドルディを悪くしたくは無かったけど、 ぼくは頷いた。 「…もう、私はここには居られない…。」 ぼくは、慌てて言った。 「ごめん…ごめん。ぼくの…」 『ぼくのせいだ』 この一言が出てこない。 「ぼくの…ごめん…ぼくの…」 「もう、それ以上言わないで…」 ライクが、静かに言った。 ぼくは、ライクの顔を見た。 …泣いていた。 気付けば、ぼくも泣いていた。 「あなたは…私の、最初で最後の友達よ…」 ぼくは、声が出なかった。 『最後』 この言葉が…切なくて…。 「あっ!竜発見!!」 ぼくは慌てて振り向いた。 バードンだ! 「カービィも居る!!大王様に…ぃ〜!?」 ぼくは、迷わず吸い込んだ。 「ライク、行って…」 ぼくは、ライクの方を向かずに行った。 「早く…見つかっちゃう…」 ライクが翼を動かす音が聞こえる。 「カービィ…」 翼の音が小さくなって行く。 ぼくは、とてもじゃないけど、黙ってはいられなかった。 ぼくも、羽を動かした。 ウイング。 竜の飛ぶスピードにも負けない、翼のコピー技…。 ぼくは、必死ではばたいた。 ライクが、 すでに大空を飛んでいたライクが、 驚いて振り向き、 そしてすぐに前を向いた。 やっぱり、怒ってるのかな? 「カービィ、下を見て。」 「う、うん。」 みんなが空を見上げていた。 きっとぼくらを見てるんだ。 でも、みんなは小さくて、 本当に小さくて、 そんなみんなより、 広大な黄緑や、 遠くに見える、 波打つオレンジが目に入った。 「きれいでしょ?」 「うん。」 「私は、きれいな物を守るの。 だから、 きっときれいな所に行くと思う。」 ぼくは、 その言葉の意味が、よく解らなかった。 ライクは続ける。 「カービィ、一緒に… 一緒に来て欲しいの… きれいな所へ。 …私、何か変。 一人は平気だったのに。 それどころか好きなくらいだったのに。 何か… 何かもやもやする。 それが何なのか、カービィに教えて欲しいの。 これからも、ずっと…」 ぼくは答えた。 無意識のうちに。 「ダメだよ。 ぼくが行くのはダメだよ。 ライク、どうしても行かなくちゃいけないの? ライク、ここには本当に居られないの? デデデ大王は、君を一目見たいだけなんだよ? 大王は、君を殺したりしないよ?」 「ダメなの。 あの森に、人が沢山入って来たから。」 「でも…」 ぼくはそこで気付いた。 デデデに見せるとは限らない。 でも、プププランドにそんな人…。 …他の国から来るかもしれないから…? そうか、ダメなんだ…。 「カービィ、 来てくれないのなら、 一つだけ教えて…」 ぼくは、何も言わずにライクの言葉を待つ。 「この… この、気持ちのもやもやって何? この、カービィが居ないとダメって気持ちは何?」 「…それは…」 ヒュオオオオオオオオオオ!! 急に強風がぼく達を襲った。 ぼくは、 ぼくは、吹き飛ばされた。 何も言えないまま。 答えを言えないまま。 軽い体が、 今日だけは憎かった。 いつの間にか、 ライクの姿は消えていた。 もう、ライクはやって来ないのかな? もう、会えないのかな? もう、何も言えないのかな? 何も教えられないのかな? 答えてあげられないのかな? もう…何も…? まだ、何も言ってないのに。 ちゃんとした 『さよなら』 も言ってないのに。 ライクも同じかな? 同じ、こんな気持ちかな? この気持ちの意味が解らないまま、 ずっと生きていくのかな? ここからじゃ聞こえないと思うけど。 こんな小さな声じゃ聞こえないと思うけど。 この気持ちは、 この気持ちは…。 …気付いたら、家に着いていた。 涙はもう止まっていた。 涙の跡がはっきり残っていたけれど。 ぼくは、家に入ると、 すぐにベッドに入った。 今日の出来事が夢でありますように。 ライクの存在も夢で良いから、 全てが夢でありますように…。 次の日の朝。 何も変わっていなかった。 立ち入り禁止の森には、 あの立て札が、まだあった。 森に入って見た。 泉はあった。 誰も入ってきてないようだった。 ぼくは泉に潜った。 あの懐かしさと共に、 今度は寂しさもこみ上げてくる。 そこには誰も居なかった。 ただ、ぼくだけがそこに居た。 あれから毎日、 ぼくは泉に通っている。 誰も居ないけれど。 ぼくしか居ないけれど。 でも、 そこには確かに、 ライクが… ライクの面影が居たから。 ずっと…。 あれから、ずっと…。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



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