全ては、運命のままに… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 少年のような若者は、竜に出会った。 孤独な竜は、若者に心を開いた。 ただ、友情を誓った二人は、気付いていなかった。 出会いが、別れの始まりである事に…。 『フレンド』 〜二日目…目撃〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ぼくは、後悔している。 あの日という日が無かったら、どんなに良かったか…。 ぼくは、昨日の出会いが夢じゃないかと思った。 だから、今日は急いで家を出た。 急いで森に駆け込んだ。 …実は、それが間違いで在った事に気付いた時は、 もう、遅かったんだ…。 …今度は、すぐに泉に着いた。 昨日と同じだ。 綺麗な泉が、波紋一つ無く、 鏡のように…。 ぼくは、少しだけ近づいて、 そっと声を掛けた。 「ライク?ぼく…カービィだよ。」 鏡に、波紋が走った。 やっぱり、昨日と同じだった。 竜は…ライクは、顔だけ出して…。 昨日と違ったのは… …ぼくを見て、そっと微笑んだこと。 ぼくはホッとして、ライクに近づいた。 ライクもそっと近づいて来た…。 「カービィ…私、昨日の事、心配だった。」 「どうして?」 「夢だったら…覚めちゃったらどうしようかと思った。」 「ぼくも…心配だった。眠れなかったよ。」 「カービィも…?」 「そういう気持ちは、みんな一緒だよ。」 「でも…私『みんな』を知らないから。カービィしか、知らないから。」 ぼくは、ライクがさみしそうな顔をするのを見て、 慌てて言ったんだ。 「そういう事は、みんな知ってるんだよ。」 「みんな?」 「うん、忘れているだけ。生まれた時から、みんな知ってるんだよ。」 「本当に…みんな?私も?」 「人は、知ってるんだよ。優しさも、人との接し方も、そういう気持ちも…」 ぼくの言葉は、勝手に出て行く。 考えるそばから、 どんどん、どんどん…。 「みんなだよ、ぼくも、ライクも。」 「カービィ…」 ぼくは、何故かそっぽを向いた。 「ライク、泳いでも良いかな?」 思ってもみない言葉が出た。 ライクは… そんなぼくを見て微笑んだ。 やっぱり、 ライクも知っていた。 人の気持ち、人の言葉、 接し方…。 ライクは確かに珍しいけど、それは外見だけ。 心は、みんな一緒なんだ。 ぼくは、ライクにあらためて教わったような気がする。 ぼくは、水面に浮きながら、 そんな事を考えていた。 ぼくは、 ふと泉に潜ってみた。 この泉に潜ったのは初めてだったけれど、 何故か懐かしい気がした。 少し水中を見回してから、 ぼくは水面から顔を出した。 ライクのように。 ライクが話し掛けてきた。 「カービィ、気持ちよかったでしょ?」 「へ?」 「泉の中。」 「うん。」 「ここは、ポップスター最古の泉なの。」 「最古?」 「全ての生き物が生まれた頃から、ここにある泉。」 「へぇ…」 「私がここに来たのは、ちょっと前だけど。」 「いつ頃?」 ライクは、少し間を置いて答えた。 「100年前…ぐらい。」 「ふぅん…」 「驚かないの?」 「うん。」 自分でも、不思議だった。 ちっとも驚かなかった。 むしろ、それが当たり前のように思えた。 そのまま、時が過ぎていった。 カサッ… ぼくは、小さな音を聞いて、 ライクに急いで潜るように言った。 ぼくも潜った。 でも、遅かった。 「り、竜がいたっス!!」 ワドルディだ! でも、一瞬しか見られてないはず。 それなら、誰も信じないはず…。 ワドルディが帰ってから、 ぼくは、急いでこの森を出て、 家に帰った。 思った通り、ぼくが家に入ろうとすると、 ワドルディが来た。 「カービィさん!どこ行ってたっスか!?」 「あ、ワドルディ…どうしたの?」 ぼくは、なるべく静かに言った。 「り、りゅ、竜を見たっス!!」 「えっ!?どこで!?」 興味をそそられた振りをして、 ぼくは聞き返した。 「あの、森っス!!立ち入り禁止の…」 ぼくは、 心を落ち着かせて、 ワドルディにそっと言った。 「ワドルディ。 誰にも言わない方が良いよ。 立ち入り禁止の所に入ったなんて…」 「でも、オイラ、誰かが入っていくのを見たっス! それで…」 ぼくは、しまった。と思った。 今日、森に入る時、 注意が足りなかった。 それでも、ぼくは言った。 「ワドルディ、立ち入り禁止の所に入ったって言ったら、 君が怒られるよ?」 「…そうっスね。 カービィさんとのヒミツにするっス!」 そう言って、 ワドルディは帰っていった。 ぼくは、ホッとして家に入った。 でも…その考えが甘かったんだ。 「…でも、誰にも言わない、っていうのも辛いっスね…」 「よう!ディ!何か面白い事あったか!?」 「あ、ブロント………実はっスね…」 「…ヒミツっスよ?絶対ヒミツっスからね!?」 「おう!」 「この、ブロントバード様に、秘密を守れるわけ無いだろうがよ!」 夜のうちに、 秘密は、噂は広まっていった。 それは、 別れの合図に他ならなかった…。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜