『カービィとゆかいな仲間たち〜四神獣編〜』
第7話〜フレアーストリート〜
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前回、ピッチが倒れた事と、カービィの腹減りが限界に達した事で、家のドアを壊されつつも、
それをあまり気にしてない『ロウ』と言う女の人に出会い、
カービィ達は『食料調達の為』に町へと向かっています。
「へぇ〜…神獣を探してんだ…」
「そう。だから、町に行ったら、俺達は情報を…」
「ええ〜!食べ物が先だよぉ〜!!」
「じゃあ、何か食べたらすぐに情報集めですよ、カービィさん。」
「解ってるってばぁ…」
「でも、気をつけな。この辺は…」
ロウの言葉が途切れます。
カービィ達はなんだろうと思い、前を見ました。
目の前に、柔道着を着た男が立っています。
「…誰?」
思わず、カービィが声を出します。
男は、右側が割れている眼鏡を手で押し上げながら言います。
「ふふん、聞いて驚くなぁ…」
その間に、ロウはさっさと素通りします。
「あっ!ロウ、待ってよう!!」
カービィ達も、横を通って行きます。
「俺の名はなぁ…って、待たんかいコラァ!!」
しかしカービィ達は、振り返るものの足を止めません。
「ちっくしょ…俺を無視すんなやぁ!!」
さて、こちら、カービィ達。
「ねぇ、ロウさん、良いんですか?」
「何が?」
「さっきの人…無視しちゃって…」
「ああ、この辺は血の気の多い奴ばっかりだからなぁ…
いちいちつき合ってたら、身体がもたないぞ♪」
「だからって…」
「それにほら、もうすぐ町だよ。そこに見えるだろ!」
ロウは、崖の下のほうを指差します。
カービィ達が見てみると、そこには西部劇に出てくるような町が見えます。
町の中心には、大きな通りがあって、ここから見てもかなりの人が居ます。
すっかり見入っているカービィ達に、ロウは言います。
「あの一番大きな通りは、通称『フレアーストリート』。
見ての通り、ほとんどの奴があそこに集まってくるから…情報収集も楽だと思うよ。」
カービィは、目を輝かして下を見ています。
「よぉし!ショートカットだぁ!!」
「え?どうやっ…」
カービィが膨らみます。通称、ホバリング体勢です。
それに、直感で置いて行かれそうだと感じたチュチュがしがみつきます。
カービィは、町へ向かって飛んで行きます。
「待って下さい〜…」
ピッチもカービィを追います。
「…しょうがねぇな…ロウ!俺につかまれ!」
「あ、うん…」
クーは、ロウが足につかまるのを確認してから、町へ向かって急降下していきました…。

〜その、ちょっとだけ後〜
「ちっ、見失ってもうた…」
さっきの柔道着の男です。
辺りを見回しますが、『下』なんて見るはずも無く…。
「俺の事、コケにしくさってからに…ただじゃー済まさへんでぇ…」
男はふと、町の方に目をやります。
しかし、カービィ達はすでに到着済み…。
その姿が見えるわけありません。
「町か…あいつら、あそこに行ったに違いあらへん!
まっとれぇ…この『マーシャル様』に目ぇつけられて、ただで済むと思うなぁ!!」
その男…マーシャルは、町へ向かって猛ダッシュ!
…もちろん正規の道を。実は、本当はここから町まで、30分かかるのでした…。

〜フレアーストリート〜
広く、長い大通りに、いろいろな人(人?も含む)が行き交っています。
ここの通りには、露店も珍しくなく、それはもう賑わっています。
カービィ達は、その中心に降り立ったのでした。
「すごぉい!!」
「上から見た時は、そんなにじゃなかったが…」
クー…もとい、カービィ達全員(ロウを除く)は、さっきから辺りをきょろきょろ。
まるで、都会に来た田舎者のようです。
で、一人この町に慣れているロウも、興奮気味です。
「気持ち良かったぁ…クー、もう一回出来ない?」
「…何もしないで戻ってどうする…」
クーが呆れつつも答えます。
「ねぇ、早く行こうよぉ!ねぇ!」
カービィは、早く食べ物にありつきたくてたまらないようです。
ロウが仕方なく行こうとした時、クーが飛び上がりながら言いました。
「俺は別に町を回るよ。またここでおち合おうぜ!」
クーはカービィ達とは逆の方向へと飛んで行きます。
「あっ、ぼくもクーさんについて行きます〜!」
ピッチも、少し遅れてクーについていきました。
「…さて!アタシ達も行くかぁ!」
『おーぅ!!』

「クーさ〜ん!」
ピッチが、やっとの事でクーに追いつきます。
「ピッチか…」
二人は、町外れを歩き始めます。
しばらくして、ピッチが喋りだします。
「…あの、クーさん…」
「何だ?」
「あの時…言いましたよね?」
「…『飛び方』か?」
「はい…」
ピッチは、俯きながら続けます。
「ぼく、その…何か…『速く飛べる』って聞いた時に…あの…」
「血が滾った、か?」
自分の気持ちをうまく言い表せないピッチを、フォローするクー。
「そう…だと思います。あの、教えて下さい!今からでも!」
クーは無言で空に舞い上がります。
ピッチは、不安げな面持ちでクーを見上げます。
「…こいよ、ピッチ。飛ぼうぜ!」
ピッチは、嬉しさに顔を紅潮させ、コクコクと頷くと、小さな羽を動かし始めました。

「おじさぁ〜ん!おっかわりぃ♪」
「おぅ!ボウズ、よく食うなぁ!ガハハハハ!」
豪快に笑いながら、店のおじさんは料理を差し出します。
それをすごい勢いでたいらげるカービィ。
「ねぇ、ロウさん?お金大丈夫なの?」
チュチュが小声で聞きます。
「ああ、ここのオヤジは知り合いだからね。少しはまけて貰うよ!」
ロウは、そう言いながらカービィを眺めています。
「本当によく食うねぇ…丸のやつ。」
「ねぇ、本当に平気?」
「ああ、だからまけてもらうって…」
チュチュは、無言でカービィの横に積み上がった皿をどかします。
「ぐぅぅ〜い!」
そこには、カービィに負けず劣らず食べまくっているグーイの姿が…。
「ガハハハ!おめぇもよく食うなぁ!ホレ、30皿目だ!」
「ぐ〜い♪」
そんなやりとりの間にも、カービィがおかわりを要求しています。
(ゲッッ!)
ロウの表情が固まります。
「ねぇ、ロウさん…?」
「あ、アハハハ…大丈夫だよ…」
そう言った後、物凄い速さで財布らしい皮製の袋の中を覗き見ます。
そして、隣のチュチュにも聞こえないような小声で呟きました。
「たぶん…ね…」

で、クー達。
町の上空を二人で飛び回っています。
「あっ、見て下さい、クーさん!」
その方向に目をやると、小さな丸い火の鳥…バーニスの群れが通り過ぎていきます。
「…綺麗だな。夕焼けに溶け込んでる…」
クーの言う通り、すでに辺りは燃えるような赤に染まっていました。
そんな中を、ひときわ赤く輝くバーニスの群れ。
群れの羽が一斉に動き、その度に火の粉が舞い散っていきます。
二人は、バーニスの群れを食い入るように見つめています。
バーニス達は、クー達が通ってきた方へと飛び去っていきました…。
「ん?どうしたんだ?あのバーニス…」
最後尾にいた一羽のバーニスが、くるりと向きを変え、こちらに飛んできました。
…いえ、正確には今来た方へと引き返そうとしているようです。
「何かあったんでしょうかね?」
「さあな。他のバーニスは気にしてないようだし…たいした事ないんじゃないのか?」
クーは、見透かすような目でバーニスを見ています。
「でも……」
ピッチは、クーとバーニスを交互に見ながら、表情を改めて言いました。
「……そうですね。クーさんが大丈夫って言うのなら…」
パァン!
キュェッ!
銃声と共に、バーニスの短い声が聞こえました。
ピッチは、慌てて周りを見渡します。
町の外、連なる渓谷の、一番近い崖に、かすかに人影が見えました。
クーは、落ちていったバーニスを追って急降下!
途中でバーニスに追いつき、何とかつかみます。
「…生きてるか?」
そう声をもらしつつも、つかんでいるバーニスに目を向けます。
どうやら、羽を銃で撃ちぬかれただけのようです。
しかし、撃たれたのは羽の根本で、羽が動かせない状況です。
胴体に当たらなかっただけでも良かった…。
クーは、そう思いながら上を見上げます。
「…ピッチはどこだ?」
ピッチの姿は、どこにもありません。
しかし、このバーニスを無視する訳にもいかず、地上へと下りていきました…。

そのピッチはと言うと、あの人影の方へ一直線に飛んでいました。
もしかしたら、あの瞬間に何が起きたか知ってるかも…。
平和に生まれ育ち、まだ『拳銃』の存在を知らなかったピッチは、
(カービィ達が何故拳銃を知っているのかは別として)
そんなかすかな期待と共に小さな羽を動かしています。

一方、そんな事はまったく知らないカービィ達。
やっと店から出てきた様子。
「いっぱい食べたね〜♪」
「ぐ〜い♪」
にこにこしながらそう言い合うカービィとグーイ。
ちなみに、今回の成績(?)
カービィは全部あわせて50皿。グーイは全部で40皿。ちなみに食べた料理の種類は…。
「もういいよ、ナレーション…」
力なく、ロウが答えます。
…落ち込んでいるというより、呆れているようです。
「ナレーションさん?それだけじゃ無いと思うわよ?」
チュチュが言います。
あっ、たぶん、財布のお金がすっからか…。
「あっ、あれ、クーじゃない?」
カービィが、町外れの方に下りて行く影を見つけました。
「あれ?ピッチはどうしたんだろ?クーしか見えないよ?」
「カービィ、あなた目良すぎよ…」
チュチュがどうでもいいつっこみを入れます。
「ちょっとぉ!ナレーション、どういう意味よぉ!」
はっ、マイク間違えちゃったぁ!
「何かあったのかな?」
「丸、行って見る?」
「うん!」
あっ、ほら、チュチュさんがうるさいから話が進んでるじゃないですか!
「何でわたしのせいにするわけぇ!?」
とにかく、カービィ達はクーが下りてった方へと向かいました。
まだチュチュがギャーギャー言ってますが、とりあえず無視です。

「…確かこの辺だったはずです…」
ピッチは、崖まで辿り着いていました。
そこで辺りを見回します。さっきの人影は見えません。
見えたのは大きく揺らめく太陽、そして、その太陽はさらに赤く濃くなり、だんだん沈んでいきます。
ピッチは、日が沈むのをみて急に不安になったようです。
「…やっぱり、クーさんの所に…」
くるりと反対を向き、そのまま飛んでいこうとしました。
…静止時から再び飛び出す時に、少しだけ高度が下がるのが、ピッチのクセでした。
今回も、少しだけ高度が下がってから…。
パァンッ!
いきなり銃声が響き、銃弾がピッチの頭の上をかすりつつ、飛んで行きます。
「…この辺では見ない『的』だな…」
静かな重い声が聞こえてきました。
ピッチが慌てて声の方を向くと、そこには、一人の男が立っていました…。
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次回、第8話〜戦いの夜〜


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