エストレーラ学園考古学部
第二話【発見】
『英雄』カービィ。
封印されていた長い年月の間・・・
彼はずっと眠っていた。
夢の中で、彼は何を思っていたのだろう。
目覚めさせてくれる人を待ち望んでいたのかもしれない。
または、再び襲いかかってくる『闇』に対する不安。
《貴様は自分が何なのか分かっているのか?》
色も、物体も、命さえも無い『無』の空間。
深い水底から聞こえてくる声の様に、低い声は問いかけてくる。
《正義という名の下に、戦い続けるだけの貴様の命・・・》
僕は何も言い返せない。
《そんな命を、誰かが愛してくれるなどと思っているのか?》
「違う!!僕は戦い続けるだけの存在じゃない!!」
《そんな証拠がどこにある?貴様はこの世界の創造主に『闇』と戦い続ける為だけに創られた機械に過ぎぬのだ》
「違う!!違う!!僕は機械なんかじゃない!!僕は生きているんだ!!自分の思う通りに生きていくんだ!!」
自らを納得させるかの様に、カービィは怒鳴った。
《貴様の『自分の思う通り』・・・それは創造主がそう洗脳させているだけではないのか?》
「そんなことないッ!!」
問いかけてくる声の主はカービィの感情を疑問だらけにしていく。
《英雄、英雄と謳われてきた者達の中には、自分が正義の使者と思いこんでいる愚か者が多い》
「僕は違う!!思いこんでなんかいない!!」
《その思いこみと群衆の期待に酔いしれながら・・・》
声の主は感情を一切無しに、吐き捨てる様に言った。
《死んでゆくのだ》
「ぼ・・・僕は・・・・」
《貴様は闇と戦わされ、封印され、再び復活の繰り返しだ・・・死ぬ事も出来ず、自分の思い通りにも生きられず、永遠に機械のままで苦しむがいい・・・貴様にはお似合いだ》
「違う!!・・・僕は・・・機械なんかじゃ・・・」
ミト「何かうめいてるよ・・・」
ルーヴィ「悪い夢でも見てんのか?」
ルーヴィの寮の部屋。
発掘(?)したカービィを持ち出して来たのです。
カービィ「違うーーーーーーーーッ!!!!!」
がばぁッ!!
ミト「っきゃーーーーっ!!!」
カービィ「僕は機械なんかじゃない!!僕は・・・うわあぁぁぁぁッ!!!!」
狂った様に暴れるカービィをルーヴィが押さえ込みます。
ルーヴィ「落ち着け!!俺達はお前の味方だ!!」
ミトは暴れ狂うカービィを抱き上げました。まだカービィは暴れ続けます。鬼神の如くに。
ミト「もう大丈夫。怖い夢でも見てたの?平気平気、私たちが側についててあげるから。」
カービィはミトを「本当?」と聞く様な顔で見上げます。ミトはそれを見てニッコリ微笑み返しました。
ミト「はい、もう平気。麦茶でも飲もうか!」
ルーヴィ「お前いーっつもそればっかだな・・・」
ミト「いいじゃん!お母さんが『興奮している人を落ち着けるには麦茶が一番!』っていつも言ってたし。」
ルーヴィ「あいつあんな事言ってっけど麦茶飲みたいだけなんだぜ。いわゆる麦茶馬鹿・・・」
すっかーーーん!!
ルーヴィの後頭部にお盆がヒットしました。急所に見事ストライクです!
ミト「気にしないでね♪この人コーラ飲みたいけど禁止されてるからスネてるの」
ルーヴィ「ちっ違ぇよ!!俺は紅茶派だ!!なのにこの学園と来たら麦茶と茶と水と牛乳以外はダメだとぬかしやがるから・・・」
ミト「嘘こけー。この前コーラ隠れ飲みして一週間便所掃除になったの誰だっけ〜?」
ルーヴィ「それを言うなっつーの!!!」
二人のドツキ合いを見ていたカービィに、変化が起こりました。
カービィ「・・・ぷっ・・・くくく・・・ははははははは!!!」
ミト「・・・えへへっ、あははははははっ!!!」
ルーヴィ「・・・くくくっ・・・あははははははは!!!」
ミト「何だか可笑しいね!!」
ルーヴィ「そうだな。」
カービィ「ははは、二人は仲良しなの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ルーヴィ「違う。」
ミト「この人はね、私の下僕なの♪(満面の笑み)」
ルーヴィ「違ーーーう!!!それこそ違う!!!(汗)」
カービィ「ほらまたぁ、『ケンカする程仲がよい』って言うし!」
ルーヴィ「カービィィー!!お前はなぁー・・・!!少しお仕置きしてやる!!こっち来い!!」
カービィ「やぁーだよっ!!捕まえられるもんか!」
ルーヴィ「言ったなー!!絶対捕まえちゃる!!!!」
ミト「二人ともー、夕食までには帰って来てよー!」
何だかお母さんの様なミトさんです。長女の特徴と言うか。世話好きなんですね。
数時間後、ミトの元へ帰って来たのはボロボロのルーヴィとカービィ、それと生活指導の先生でした。
アレーグレ、通称アレグ先生は、一見真面目そうな容姿をしています。白衣に眼鏡ですね。
アレグ「ミト君、この暴走常習犯は良いとして、球体君は誰だね?」
ミト「えっ!?・・・あの・・・と、友達です!遠方から来たんです!!」
アレグ「ふーん・・・」
アレグはカービィをじぃぃっと見つめます。
アレグ「・・・球体君、君はあの英雄のカービィじゃないかね?」
二名の心臓は、すんでの所で爆発を免れました。
ルーヴィ「違う、違うよ!そっくりなだけだっつの!」
ミト「そうですよ!!良くみんなから似てるねぇ〜と・・・」
アレグ「ふッ・・・君達、そんな言い逃れをしてもこの生活指導代表アレーグレの眼は誤魔化せぬぞ」
アレグはそう言って一枚の紙をピラっと出しました。
“英雄カービィの推測図”
アレグ「まさか推測図がピッタリ合っているとは、最近の学者達も良くやるね」
もはや二人に秘密を隠す余地はありませんでした・・・。
カービィがこの世に現れた・・・という事は、『闇』達が復活するって事でもあるんだよ。
この三人に、英雄が守れるのかなぁ?
世界の秩序は壊れるか壊れないか。
とにかく次回までさようならだね。
NEXT STORY・・・【英雄狙い】
俺流用語辞典
声の主・・・この先重要人物の一人となるであろう人物。多分。
寮の部屋・・・エストレーラ学園は全寮制というやつなのでありました。
麦茶馬鹿・・・それは俺の事です。
コーラ・・・俺はコレが大の苦手で、前に無理して飲んだら炭酸飲料なのに酔いました。
麦茶と茶と牛乳と水・・・近くの施設はこれだけしかなかった。て言うか、これだけありゃ十分。
アレーグレ・・・また新キャラですか。エストレーラ学園生活指導員代表役。ルーヴィとミトの知り合い。魔法が使え、弟子が一人。次回登場予定(また自分の首を絞めるようなことを)
暴走常習犯・・・ルーヴィ君は何かとケンカして廊下を暴走します。
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