『カービィとゆかいな仲間たち』
第11話〜アイスバーグ、悲しき戦い〜
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前回、ワープスターが風邪をひき、その上吹雪に遭ってしまったカービィ達。
そこで、アイスドラゴンのアスランと会い、アイスバーグで楽しい日々を過ごしています。
今日もアスランが、ワープスターを冷やす為の氷を削りに出かけ、カービィ達はその帰りを待っていました。
「アスラン、まだかなぁ?」
「カービィ…まだ3分しか経ってないよ?」
キュオオオオオオオン!
不意にアスランの叫び声が聞こえました!カービィ達は急いで外に出ます。
カービィ達の目に映ったのは、アスランが黒い影に乗り移られる瞬間でした。
アスランがカービィ達の方を振り向きます。
「お前等か…あの方の邪魔をするのは…」
その声は、アスランの物であって、アスランの物ではありませんでした。
「あの方…ダークマターとか言う奴か?」
『ダークマター』の名を出すと、相手は驚きましたが、すぐに笑みを浮かべます。
「そうか…もう知っているか…それなら話は早い…ダークマター様は、
お前等を邪魔に思っていられる…ダークマター様の命により、お前等を抹殺する!」
アスランが…いえ、アイスドラゴン(と呼んだ方が良いでしょう)が強く大地を踏むと、
カービィと同じくらいの氷の塊が、地面から突き出て来ました。
アイスドラゴンはその氷の塊を、カービィに向けてしっぽで撃ち出しました。
カービィ達は、その塊をなんとか避けると、アイスドラゴン…いや、黒い影に話し掛けます。
「ねえ!アスランから出てってよ!自分で戦えばいいでしょ!?」
「あいにく、我々はダークマター様と違い、個体じゃ戦えないんでね…」
アイスドラゴンは、そう言いながらコールドブレスをカービィ達に吐き掛けます。
カービィ達は攻撃をかわし続けます。
だれも『アスラン』に向かって攻撃できません。いえ、出きる筈がありません。
と、リックが叫びました。
「早くアスランから出て行け!そうしないとオイラ達攻撃できな…」
「バカ!リック!」
「ほう…いいことを聞いた…なら、なおさらこいつから出て行くわけにはいか…」
ボウン!
大きな音をたてて、火の玉がアイスドラゴンに突っ込みます。
火の玉の正体は…カービィでした。
「カービィ!?どうして…」
「だって、こいつを追い出すには…アスランを元に戻すには、
ある程度ダメージを与えなきゃダメなんでしょ!?」
「カービィからそんなセリフが出るなんてな…」
「だって、ずっとこのままだったら、アスラン、かわいそうだもん…」
「カービィの言うとおりなんだな!」
「…そうと決まったら…」
「「「「突撃ぃ!!」」」」
カービィ達は次々に攻撃を仕掛けます。
アイスドラゴンも氷柱(つらら)を作り出し、応戦しますが4対1です。
カービィ達の攻撃は、アイスドラゴンの身体を傷つけていきました。
アイスドラゴンの身体はもう限界のはずです。
その証拠に、黒い影が乗り移っていると言うのにふらついています。
あと、一発…カービィは、バーニングの火の玉になり、アイスドラゴンに突進します。
キュオオオオオオオオオオオン!
アイスドラゴンは辛うじて攻撃を避けると、高らかに咆哮を上げました。
カービィ達は、いきなりの叫び声に動きを止めます。
「おい…何のつもりだ?いまさら気合でも?」
「そうじゃない…お前らに…忠告してやろうと思ってな…」
「忠告?」
「そうだ…これ以上…こいつに攻撃すると…一生こいつと話せなくなるぞ…?」
「ふん!いまさら命乞いなんて…」
『そいつの言ってる事はホントニャー!』
セリフで判断できたでしょう。いつの間にか、カービィ達の後ろにナービィが座っていました。
もちろん、ドービィも一緒です。(二人とも球形です)
「どういう事…?ねぇ、アスランと話が出来なくなるって…」
「ニャ、ホントニャー。アス君はダメージを受けすぎたニャ〜!」
「正確には、その、お前たちが言うんだったら、その黒い影が我慢しすぎたってことだな。」
「だから、どういう事だって聞いてるんだよ!こんのクソトカゲぇ!」
すぐに答えをださないドービィ&ナービィに、半分切れ気味のリック…いや、カービィ達。
今にも跳びかかりそうなカービィ達とドービィは、睨み合います。
アイスドラゴンは、その状態に呆然としながらも、
『あいつらがやりあうんだったら、手間が省ける』という考えにたどり着いた様で、
見ている事にしたようです。
そんな周りの様子を気にしていないかのように、ナービィは話し出します。
「ニャー…アス君は、『アイスドラゴン』ニャー…ドラゴンはドラゴンが詳しいニャー。」
「な、何を言ってるんだな?」
「俺に説明しろって言ってるんだろ?」
そう言ってドービィはアイスドラゴンの方を、ちらちらと見ながら説明(?)を始めました。
「そもそも、アイスドラゴンって言う種族は、弱い奴が多かったんだ。力も、心もな。
そこで、アイスドラゴン種は、種の存続の為、
一つの自己防衛機能…って言うのかな…が、生まれつき備わってるんだ。」
「自己防衛機能?」
「そう、『攻撃を瀕死の状態になるほどに受けると、自らを氷づけにして身を守る』ってやつがな…」
「え!?って事は…」
カービィ達はアイスドラゴンを見やります。
「もう…アスランは瀕死なの…?」
「まあ、そういうことになるニャー!」
このとき、カービィ達は少なくとも怒りを覚えたでしょう。こんな時でさえ、明るいナービィに…。
「ちなみに、氷づけは、少なくとも100年、多くて、250年って所かな…」
「ひゃ、100年!?」
「お前たちとドラゴンとは、時間の感覚が違うんだよ!100年なんて一瞬さ!」
カービィ達は身動き一つしませんでした。
今までの…今までの楽しい時間も、アスランにとっては、数秒ぐらいだったんでしょうか?
数秒の事では、忘れられてしまう…?
いえ、アスランは『絶対に忘れない』と言ってくれました。氷づけになっても、忘れる事はないでしょう。
しかし、少なくとも100年後、カービィ達は…?この島も100も経てば、どうなっているか解りません。
アイスドラゴンを…アスランを…優しき氷の竜を…かけがえのない友達を、
自分たちの手で氷づけに…カービィ達にとっては、
いえ、それがカービィ達じゃなくても、あまりにも残酷な事です。
「ピも君達じゃー、攻撃できニャーニャ?」
「あたりまえだろ!?アスランは、オイラ達の友達なんだ!」
「友達と会えなくなるなんて…嫌なんだな!」
いつの間にか、ドービィがドラゴン状態になっています。
「ピも君達が出来ニャーのニャら…」
ナービィは獣人モードになると、カービィ達をジャンプで跳び越えます。
ドービィは低空飛行で、カービィ達の横をすり抜けます。
「なっ、何をするつもりだ!?」
「俺達がとどめをさしてやるって言ってるんだよ!」
ドービィが、火炎を吐きます。それに怯んだアイスドラゴンを、ナービィの爪が襲いました。
キュオオオオオオ!
ピキ……ピキピキ…
黒い影がアイスドラゴンから出てきます。
それと同時に、アイスドラゴンの身体が、氷に包まれて行きました…

「チッ…トンダジャマガハイッタ…」
黒い影は飛んで行きます。
遥か上空で、黒い影の横に巨大な物が並びました。
ドービィと、それに乗ったナービィでした。
「ニャッ、君はしたっぱニャンだから、大人しくしてりゃーいーニャ〜!」
≪ったく、やせ我慢しやがって…さっさとやられときゃーいいのによ!≫
「オ、オマエラハ…!?」
ドービィは、尻尾を振るい、黒い影を掻き消してしまいました。
「ニャー…うちらに『お前等』なんて、10年早いニャー!」

さて、遥か上空でそんな会話がされている事も知らないカービィ達は、今だ呆然としていました。
「アスラン…?」
アスランは、眠るようにして凍りついています。
と、辺りがだんだん暗くなってきました。
「吹雪が来るな…とりあえず、アスランの家の中に…」
「アスランは?アスランはどうするんだよ!?」
「アスランは動かせないんだな。リック…落ち着くんだな…」
カインは、そのままアスランの家へ入ってゆきます。
ただ、その足取り(?)は重い物でした。
そんなカインの様子に気付いてクーが、リックが家の中へ入って行きます。
カービィは、アスランを見ていました。
なんで…なんでアスランはアイスドラゴンに生まれてきたんだろう?
ぼく達が来たから、こんな事になったの?
……ごめん…アスラン……。
カービィも家の中へ入って行きました。
数分後、カービィ達がアイスバーグで遭った中で、一番すごい吹雪でした。
ごおぉぉっぉおおおおっ
まるで、アスランを亡くして、アイスバーグ自体が泣き叫んでいるようでした。
ごおおおぉぉっぉっ
吹雪は、2日の間続きました。
その間に、ワープスターの風邪も治っていました。
吹雪が止んだ朝、カービィ達はアスランに被っている雪を丁寧に掃いました。
そして、全員でアスランを眺めます。
【ぼく…ぼく何もしないのに…】
アスランと始めてあった日。アスランは二度泣きました。
【君達が初めてだよ…ぼくの名前聞いてくれたのは…】
悔しそうな表情のクー…。
【友…達?ぼくと?ほんとに?】
今にも泣き出しそうなリック…。
【ああ…ぼく、友達が出来たの…初めてだ…】
無表情ですが、黒い影に対し一番怒りを持っているカイン…。
【うん…絶対…絶対忘れないよ…】
カービィの頬には、もう涙がつたっていました。
「ニャー!ニャに沈んでるニャー?」
カービィ達ははっとして振り向きます。
そこには、いつも通りニコニコしているナービィでした。
「てめぇ!よくもアスランを!」
≪それは勘違いだな、クー。≫
「でも…とどめをさしたのはきみた…」
「確かにニャー!でも、うちがやらニャかったら、だれがやったニャ〜?」
カービィ達は、黙り込んでしまいました。
確かに、もしあのままで居たらカービィ達は…。
しかし、友を失ってまで自分達が助かるなんて、カービィ達には考えられませんでした。
そんなカービィ達の心内をよんでいるかのように、ナービィが言います。
「ニャ、確かに友達は大事ニャ〜!うちだって、ドービィは大事ニャ…
でも、ピも君達はここでやられてちゃ〜いけニャ〜ニャ〜!
ピも君達がここでやられてちゃ、虹の島々だけじゃニャく…」
≪ナービィ!≫
ドービィがナービィの言葉を遮りました。
ナービィはなぜ遮られたかはわかっている様子です。
「ニャ…ま、とりあえず気を取りニャおして、虹の島々の虹を取り戻すニャ〜!」
≪ま、そういうことだからな。とりあえず頑張れよ!≫
ドービィ達はそこまで言うと、すぐに飛び去ってしまいました。
カービィ達の表情は、少しばかり明るくなっていました。
「虹の島々の虹…すっかり忘れてたね…」
「忘れてちゃいけない事なのにね!」
さらに、もう少しばかり、笑みが漏れます。
「アスランのためにも…」
「虹を取り戻すんだな!」
虹の雫に再び宿った黄緑色の光は、次の島へ…前へ前へと伸びて行っています。
「いこう!カービィ!」
リックは、元気を取り戻したワープスターに飛び乗り、叫びます。
(アスラン…虹を取り戻したら、絶対…絶対戻ってくるから…それまで、ここで待っていてね。
きっと…きっとすぐに戻ってくるから…戻ってくるから…)
カービィ達は、虹の雫の光に導かれ、次の島へと向かいます。
キュォォォォォ…
ふと、こんな音が聞こえました。
大空に吹く風の音でしょうか?それとも…

さて、こちらは、ナービィ&ドービィ組。
「ニャー…つい口が滑りそうに…」
≪『つい』じゃすまないぞ!もしあいつらにばれたら…!!≫
「ニャ!ドービィはそればっかニャ!」
≪お前…この世界が…≫
「『どうニャってもいいのか?』…もう聞き飽きたニャ〜…刺激がほしーニャ〜…」
≪ったく…あの時だって余計な手出しを…ほっとけばいいのによ!≫
「ニャ、あのままじゃ、アス君もピも君もかわいそうだったニャ〜…」
≪フン、世話焼きが…≫
そうは言っていても、ドービィは微笑を浮かべています。
が、すぐに悲しい表情を浮かべます。
≪なんにせよ…今回の事は少しばかり辛かったな…同じドラゴン…いや、生き物として…≫
「ニャー…仕方ニャかったのニャー…ドービィ…それより、あれは、本当の事ニャ?」
≪『あれ』?何のことだ?≫
「…100年は一瞬って言ってたニャ〜…」
≪…嘘に決まってるだろ…俺は純粋なドラゴンじゃないし…ドラゴンにしても長めだよ…≫
「…無理しニャいでほしーニャー……ドービィには…」
≪今日の事……お前は無理しないでいられるか?≫
ナービィは黙って首を横に振りました。
月に映るドラゴンの影が、今日は何か悲しげでした…。

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