『カービィとゆかいな仲間たち』
第5話〜ビックフォレスト、虹の雫とネリー〜
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さてさて、前回『ヌラフ対策本部』で、クーと出会ったカービィたち。
クーに今度の『ヌラフ凶暴化事件』にあの黒い影が関係している事を聞いたカービィたちは、
その影から虹の雫を守るために一時的に虹の雫を隠そうと、虹の雫が置かれている場所へと急いでいます。
「あっっ!あそこだ!着いたぞ、カービィ!」
クーはそう叫ぶと、だんだん高度を下げ、地面に下り立ちました。
「ふい〜疲れたぁ〜。」
「何でおまえが疲れるんだっっ!」
「だって、ここに来るまでに何回も〈ガクンッ〉って感じで高度が落ちたじゃないか!
オイラ、冷や汗がこんなに出ちゃったよ。」
リックは自分の腰の後ろあたりを指差します。
「へー、ハムスターって腰の後ろあたりからしか汗はかかないんだぁ…」
クーは一瞬にしてカービィの方を向き、あきれたように話しかけました。
「………なあカービィ……スパイキーはどうした?」
「あっっ!この感じ!ぼく、いつのまにか、ニードルをコピーしてるぅぅぅ!」
クーがため息をつきます。それに反してリックは不思議そうにしています。
「ねえ、なんで、〈カービィがスパイキーをのみこんでる〉ってわかったのさぁ?」
「普通に喋ってたから大体は予想がつくだろう?」
「なぁーるほどぉ!」
クーは再びため息をつくと「こっちだ」と合図し、木の間に隠れていた入り口へと入って行きます。
カービィたちは、あわててついて行きました。
カービィたちが入り口をくぐるとそこは、床一面がブロックでできた小さな部屋でした。
「ん?どこに虹の雫があるんだ?」
「カービィ!リック!こっちだ!」
カービィたちが近づいていくと、クーがいるあたりのブロックだけ他のブロックと柄が違います。
周りのブロックはどこにでもあるブロックなのに対し、そのブロックは一つの面にくぼみが5つ。
「なんか↑のナレーション、算数の問題みたいだなぁ。
さて、その面が6つだったらくぼみの数はいくつでしょう。はい、カービィ!」
「やめとけ、カービィは1+2もできないんだから。」
そこには、5×6に頭を悩ますカービィの姿が…。
「カービィ、その問題は解かなくていいからな。」
「え?ホント?ありがと、クー!」
カービィは、目を輝かしこれ以上の喜びは無いといった表情で、クーに礼を言いました。
「……それより、カービィ!このブロックの上でニードルだ!」
「わかったぁ!」
カービィがニードルを繰り出すと、カービィの足元のブロックが壊れカービィは下に落ちていきます。
ニードルのまま…
どすんっっ
「いったーぃ!!!」
「下まで落ちたみたいだね、クー。」
「足元のブロックを壊すんだから、足元が壊れるって事くらいわかってると思ってた…まさか、
ニードルのまま、落っこって行くなんて…」
カービィがニードルを解いて飛ばずに、そのまま下へ落ちていった事に今回3度目の呆れ顔をしながら、
クーも下へと降りて行きます。もちろんリックも続きます。
カービィはというと、ちょうど虹の雫を見つけ、手に取ったところでした。
「クー!これでしょ〜?」
「ああ。とりあえず、本部へ…」
『ちょっとまちゅでちぃ!』
「あっ!き、君は…」
そこにいたのはあのイノシシの子、ネリーでした。
あの時は近くに兄弟がいましたが、今回はたった一人でカービィたちに立ちふさがっています。
「ちょ、ちょれをこっちにわたちてほちいでち!ちょれがあればおにいちゃんたちも、
たぶんゆるちてもらえるでち!」
「ね、ねえ。君は虹が見れなくてもいいの?」
カービィがそう聞くとネリーは、一瞬困ったようにうつむき、
ゆっくりと、泣き出しそうな声で喋りだします。
「に、にぢはみたいでち、でも、でも、にぢがきえてから、『にぢがみたい』って、
おかあちゃんにいうと、おかあちゃん、しゅごくおこるでち…
エグッ、あんなの、おかあちゃんじゃ、ないでち!エグッ、きょうだって、
おにいちゃんたち、エグッ、すごいおこられたでちぃ、だから…」
ネリーは途中から、目に涙を浮かべ、しゃくりあげながら喋りつづけます。
「だから、そ、それがほちいでち、おかあちゃんをなおちたいでち…」
「わかったよ、わかったから。ね?」
リックがネリーをなだめます。
そして、クーが黒い影のことを簡単に説明してあげました。
「……と、いうわけなんだよ、わかったかい?坊や。」
「じゃあ、そのわるいやちゅを、やっちければいいんでちね?」
「まあ、そういうこと!」
クーは、リックの方を、なんでそんな簡単にそういうことを言うんだ、といった顔つきでにらみます。
それを見たカービィが慌てて付け足します。
「あ、で、でもそいつはすっっごく強いから、君だけで倒そうなんて考えちゃいけないよ?」
「じゃあ、くーのおにいちゃんたちといっちょならいいんでちか?」
「え?えーっとそれはぁ…」
カービィが困っていると、リックがまた口をはさみます。
「これだけやる気があるんだからいいんじゃないか?クー。」
ネリーも、そうだそうだと頷きます。
クーは、もういちどリックをにらんだ後、しかたがないとばかりに横に首を振り、
優しくネリーにいいました。
「いいかい、坊や。危ない時は、あの、リックっていう人が守ってくれるから、
あの人の後ろに隠れるんだよ。」
「わかったでちぃ!」
「ちょ、ちょっとまてよ、クー!」
カービィとネリーが、クーが、ちょっとおくれてリックが笑い出します。
小部屋は、暖かい空気で包まれました。
虹の雫が無事だった事、子供のイノシシたちはまだ、操られていないとわかった事、
小さな、それでも頼もしい仲間が増えた事、それとも、虹の雫の力でしょうか。
暗い雰囲気に沈んでいた、陰気な虹の雫の隠し場所は、いまや明るい森の中のようです。
しかし、本当に明るい森を見るためにはヌラフを操っている黒い影を倒さなければいけません。
カービィたちは作戦をたてるため、一度本部に戻りました。
「カービィ、スパイキーは元に戻せるのか?」
「うん!ぼくが自分でコピー能力を捨てた時だけ、星からキャラに戻るんだ!
ゲームで言えば能力を持ってるときにセレクトボタンだね!」
そう説明し終わると、カービィは星をはき出します。
その星が割れて、中からスパイキーが出てきました。
スパイキーはすくすく育ち、鬼退治に…
「まって、まってナレーションさん!間違ってる間違ってるぅ!」
「あーあ、せっかく今日はまじめにナレーションしてたのにねぇ。」
でも、作者様が「ギャグが少なくない?」っておっしゃったのでたまには私がボケようかと…
あっ話しを続けてください。
「はいはい…とりあえず、これでこっちは5人だね!」
「でも、あっちは数え切れないほどの子イノシシだぞ…」
「「「「「う〜ん…」」」」」
しばらく沈黙がその場を支配します。
沈黙を破ったのは意外にもネリーでした。
「ぼくにいいかんがえがあるでち!これならおにいちゃんたちも、おかあちゃんも…」
ネリーの周囲に皆が集まります。
「よし!それでいこう!」
「でも、ネリー、そんなことして大丈夫?」
「だいじょぶでち!ぼくにまかちぇるでち!」
「じゃー、作戦通りに…」
「「「「「おーっっっっっ!!!!!」」」」
カービィたちは気を引き締め、ヌラフのもとに向かいました。
ここはヌラフたちの巣、すくみあがって整列しているのは、子供イノシシたちです。
そして、その子供たちの前を苛立った様子で歩きまわるのは、本来子供を安心させなければならない、
母親……ヌラフ。
「あーっ!まぁーったく!ネリーはどこにいったんだい!ネリーは!」
「あの、お母さ…」
「うるさい!だまってな!まったく、何でこんなダメな子ばっかりなんだろうねぇ!」
ヌラフの言葉を聞いた子イノシシたちは、みんな、心の中で涙しました。
なぜ、お母さんは変わってしまったんだろう。いつから変になったんだろう?
最初は、虹が消えてから。あのころから、『虹を取り戻したい』って人を襲えって言いだした。
前は、『みんな仲良くしなきゃダメ』って言ってたのに。でもそのころはまだ、ぼくらには優しかった。
それから一日たたないうちに、お母さんは豹変した。急にぼくらを子分のように使い出した。
前は、自分からお母さんの為にって動いてたのに、今はみんな、こわいから従ってる。
ほんとは、誰かに助けてほしい。ほんとは…。
そんな子供たちの気持ちを知ってか知らずか、母親ヌラフは、なお苛だたしげに辺りを見回しました。
すると、カサカサと草のこすれる音がし、ネリーが飛び出してきました。
「ネリー!どこに行ってたんだい!さっさとここに並びな!」
「………みんなぁ!こっちへぇ!だいじょーぶ!おかあちゃんはもとにもどるよぅ!」
すっかり落ち込んでいた子イノシシたちは、『おかあさんはもとにもどる』の言葉と、
あの一番弱虫で、一番甘えんぼうなネリーが母親にはむかっている事に驚き、
そしてどうしていいのかわからずただただうろたえるばかりでした。
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