『カービィとゆかいな仲間たち〜四神獣編〜』
第1話〜花と猫〜
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ここは、ベジタブルバレーの端っこ、グラスランドとの境界にあたる所です。
カービィ達は、見慣れない物があるのに気がつきました。
「ぐい?」
「うん、柵だね…いつの間にこんな物が…?」
「カービィ、門があるよ!あそこから…」
そう言いながら、リックは1つだけぽつんとある、門に向かって駆け出します。
…実は、跳び越えられるほどの低めの柵なんですが…。
門だって、小犬の柵の門みたいな感じですし…。
まあ、それは置いといて、リックは律儀に(?)門に向かって…。
むぎゅっ
「いだぁぁーー!!」
「んわーー!!!?」
リックが門前に立った時、誰かを踏んだようです。
その『誰か』とリックが叫ぶのは、ほぼ同時でした。
「どーしたのぉ〜!?」
カービィが急いでリックに近寄ります。
座り込んだリックと誰かは、互いに硬直しています。
さっきの驚きはもう消えていましたが、別の驚きがまた襲ってきたようです。
「ぐ〜い?」
「ねぇ、どーしたのさぁ?リック?」
リックは、相手を指差しながら言いました。
「ナ…ナゴ!?」
相手も、あっ、っと小さく言ってから、立ち上がりながら言いました。
「リ、リックナゴ!?どうしてこんな時にお前みたいなのがここへ来るナゴ…」
「お前みたいなってなんだよ!それにこっちが訊きたいなぁ?
どうして、お前みたいなマヌケがこんなところにぃ?」
「マヌケはリック!お前の方ナゴ!大体お前、ネズミのくせに、猫のナゴに偉そうな口きかないで
欲しいナゴ!」
「ああん!?誰がネズミだってぇ!?」
「ふん、お前に決まってるナゴ!」
「あ、あのー…」
さっきからあっけにとられていたカービィが、やっと口をはさみます。
「ん?君は誰ナゴ?」
ナゴも、今頃カービィに気付き、訊きます。
「あ、えっと…ぼくはカービィ。で、こっちがグーイ。…ねぇ…えーっと…」
「あ、まだ自己紹介してなかったナゴ。ナゴの名前は、『ナゴ』ナゴ。」
カービィはしばらく考えてから訊きました。
「えっと、ナゴ?リックと知り合いなの?」
「知り合いも何も…ナゴがお昼寝をしてると、いっつもこのネズミが邪魔するナゴ!」
「お前だって、オイラの至福の時を、いっっつも邪魔するくせに!!」
「至福の時だとか言って、いっっっつもヒマワリの種をバカ食いしているからナゴ!
お前のせいで、新しいヒマワリが芽を出さないナゴ!!」
「そっちだって『しあわせナゴ〜』とかほざきながら、いっっっっつもところかまわず寝てるからだ!
通り道塞いで、邪魔なんだよ!」
「やる気かナゴ!?」
「おうとも!やってやるさぁ!!」
「ストップ!ストーップ!!」
カービィがようやく止めに入ります。
もう少し、早く止めてくださいよ…。話が進みません。
「そんな事言うんだったら、ナレーションさんが止めればいいでしょ!?」
「ぐ〜い!」
…私はナレーションですから。
「はぁ…ねぇ、ナゴ、ここに、前から柵なんかあったっけ?」
「んんにゃ、無いナゴ。」
「じゃあ、何で今は柵があるの?」
「ナゴが作ったナゴ。」
「ぐ〜い?」
ナゴが、首を傾げるのを見て、カービィが慌てて言います。
「あ、今のはね『何で』って訊いたんだよ。」
「そ、そうナゴ?まあ、見れば分かるナゴ…。」
ナゴはそう言いながら、柵の向こうを指差します。
カービィ達は今まで気付かなかったのですが、
柵の向こうには、チュリップが咲き乱れていました。
「…綺麗な花畑じゃないか。何の問題があるんだよ?」
「…これだから、無神経なネズミは困るナゴ。」
「あんだとぉ!!何度も何度もネズミって言いやがってぇ!!」
殴りかかりそうなリックをグーイが止めようとしているうちに、カービィがナゴに言いました。
「あの…ぼくも良く分からないんだけど…」
そう言うカービィを、ナゴはしげしげと眺めます。
「な…何?」
戸惑っているカービィにナゴが近づきます。
「…カービィ…っていったナゴ?…ちょっとさわっていいナゴ?」
「え…別に良いけど…?」
ナゴは、カービィをニ、三回さすった後、転がし始めました。
リックとグーイも、ただその光景を見ています。
…10分後…
「…形も…さわり心地も…転がし具合も良いナゴ!そういう人に悪い人もいないナゴ!
ナゴは気に入ったナゴ、カービィ!」
ナゴは満足げに言います。
「…あ…そう…うぇ…」
カービィが目を回しながらいいます。
自分で転がるのは良いのですが、さすがに人に転がされるのはこたえたようです。
「で…教えてくれる…?…チュリップがどうかしたの?」
「ナゴ。もともと、ここにはチュリップは少ししか咲いてなかったナゴ。
でも、虹の島々の事件が解決した時から、急に増え始めたナゴ。
で、誰かが踏んだらいけないと思って柵を作ったナゴ…。」
「で、こんなに増えちゃったってか?」
ナゴは頷きます。
「ぐいいぐいぐ〜い。」
「花の川みたい、だって。」
「…それが問題ナゴ…」
ナゴは、チュリップ密集地帯の方を向きます。
「…グラスランドに帰れないナゴ…」
「そんなもん、チュリップを…」
ナゴは、細い目を見開きながら叫びました。
「踏み潰せって言うナゴか!?」
「…でも、そうしなきゃどうやって渡るんだよぉ?」
「ダメナゴ!一生懸命咲いてるのに、そんなこと出来ないナゴ!!
まったく!やっぱり『バカネズミ』ナゴ!!無神経ナゴ!!」
「…そこまで言うからには…覚悟は出来てんだろうなぁ?」
「ふん…こっちのセリフナゴ!」
…どうします?カービィ。
「どうするって言われても…ナレーションさぁん…」
「ぐいぐっぐい、ぐぐぐいぐいぐいぐいい!」
「…『こうなったら、やらせるだけやらせよう!』だって…。」
じゃ、そうしましょうか。読者の皆さん、しばらくお待ちください…。
…1時間後…
「…ハアハア…いつの間にそんな技を覚えたナゴ…?」
…あっちこっちに、焦げ跡があるナゴ。
「…そっちこそ……ジャンプ力がそんなに上がって…ハアハア…。」
それに、引っ掻き傷だらけのリック…。
どうやら、喧嘩(?)は終わったようです。
相打ちですか?
「…そ、そういうことにしとくナゴ…」
「…でも…オイラは…まだ元気だぞぉ…」
「…何を言うナゴ…ぼろぼろのくせに…」
「…そっちの方が…ぼろぼろだろぉ…」
「もうやめてよぅ!!」
カービィが叫びます。
「ほら、カービィが、ああ言ってるナゴ…。謝るナゴ…」
「…そっちから謝れぇ…」
「リック、ほら、今回はリックが悪いんだから…。」
「とりあえず、どうやって先に進むか考えよー!!」
リックが、あたりを調べ始めます。
「カービィ、無理ナゴ。あいつは絶対謝らないナゴ。」
「…はぁ…でも、本当にどうやって進めば…」
「この先に行く必要があるナゴ?」
「あの、落っこちてきた物を見たいん…」
そこまで言いかけたところで、カービィはやっと気付きました。
そう…
「そうだ!飛んでいけばいいんだ!」
「ぐいい!」
「カービィ飛べるナゴ!?」
カービィは『うん』と言ったあと、
思いっきり息を吸い込み、ホバリング体勢になります。
グーイも浮かび上がります。
それを呆然と見ているナゴとリック…。
カービィは向こう岸(?)に着いたようです。カービィの姿は、点ぐらいにしか見えません。
『おーい!リックー!行けたよぉ〜!!』
マイクでも使ってるのか、大きな声が響きます。
「…オイラ達はどうすりゃ…」
「ナゴ…」
二人は、しばらくうろうろしながら考えます。
と、ナゴがなにやら閃いたようです。
「こうなったら、協力するしかないナゴ!リック、さっき火を吹いていたナゴな!」
「そうだけど…どうするんだよぉ?」
「とりあえず、こっち来るナゴ…。」
ナゴは、花畑から離れます。
そして、花畑を睨みつけながら、リックに言いました。
「リック、ナゴに向かって火を吹くナゴ…」
「…いいの?」
「良いから、吹くナゴ!」
「おーし…『ハムスターファイヤー!!』」
「ナゴォォーーー!!」
ナゴは、背中に火が燃え移るのと同時に走り出します。
「まさか、その勢いで跳ぶとか…?」
そのまさかのようです。
充分な助走の後…ジャンプ!!
凄い跳躍力です!
…でも、あれでも半分ぐらいしか行かないと思いますが…。
「あまいぞ、ナレーションさん。あいつが得意なのは…。」
『セカンドジャーンプナゴォ!』
ナゴは空中で二回目のジャンプをします。
さらに、二回目のジャンプの頂点で、三回目のジャンプをします。
高く、ロケットのように跳び上がった後に、空気を蹴り、
カービィとグーイのいる岸(?)を目指して斜めに落っこちて行きます。
…もちろん、燃えながら。隕石のようです。
さて、こちらは、リックが飛べないのを忘れて、さっきからずーっと待っているカービィ達。
「遅いねぇ…リック達…」
「ぐいっいぐい?」
「ん?ナゴもはいってるんだよ♪」
「ぐい、ぐいいぐいぐーいぐっいぐー?」
「え?…そうだ、リック達飛べないんだっけ?忘れてたぁ♪」
「ぐいー…」
『カァービィー!退くナァゴー!!』
驚いて上を見上げると、火の玉のような物が落ちてくるではありませんか!
カービィとグーイは慌ててその場から退きます。
どさっ!
火の玉のような物は、地面に落ちると燃え尽きます。
カービィがおそるおそる近づいてみると…。
「ナゴ!?どうしたの、こんなになって…」
「ナ…ゴ…も、燃え尽きたナゴ…がくっ。」
「ねぇ、ちょっと、ナゴ!?どうしたのってばぁ!?」
…2時間後…
ナゴは、もう起きて、カービィ達にどうして燃え尽きたかを話しました。
「へぇー…そうだったんだぁ…とりあえず、渡れてよかったね。」
「ナゴ。そういや、カービィもこの先に行くって言ってたナゴね。」
「うん、そうだけど…?」
「ナゴも行きたいナゴ!どうせ暇ナゴ!」
「え?一緒に行くのは良いけど…本当に良いの?」
「良いナゴ!あ、でも…チュチュが…カービィ、ちょっと、寄って行ってもいいナゴ?」
「え…?別に良いけど…チュチュって?」
「会えば分かるナゴ。さ、行くナゴ♪」
「…うん!」
カービィ達は駆け出します。
「あれ…?何か忘れてるような…ま、いっか♪」
三つの点がさらに遠ざかるのを見て、慌てて柵から身を乗り出すリック…。
「おーい!オイラはどうすりゃいいんだよぉ!!ナゴのバカ猫ぉ!!あっ…」
リックはバランスを崩し、チュリップ達の中に落ちます。
グシャ
あ、三つぐらいチュリップ、潰れましたね。
「いったぁー……こうなったら、三つもたくさんも一緒だぁ!ちくしょー!!」
リックはチュリップを踏み潰しながらカービィ達を追いかけていきました…。
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次回、第2話〜チュチュ達との出会い〜
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