第六話「戦い」
其ノ三『GES vs. BLETZ』
「キャアぁっ!」
ブレッツが、吹き飛ばされながら悲鳴を上げた。彼女には、ジェスの「ゲンコツ」は痛過ぎた。
「見たとこ、うちの冴えないバカ息子と同い年ぐらいだろう?今ならまだやり直せるぞ、嬢ちゃん!」
ふざけてるのか真面目なのか(あの目の輝きだと真面目なのだろう)、ジェスは犯罪者を説得する刑事のような事を言った。
「・・・ッ・・・アンタ、バカね?一度死んで天使になってんのよ。今更何をやり直すって言うのよ!?」
言うなり、黒い針を連射した。しかも、先程までのと比べ物にならない数を!ジェスの視界は完全に、それで埋め尽くされていた。
が、それ以外には別段何も無かったので、ジェスはそれまでのと同様に避けた。
―――目の前に、彼女はいなかった。
不思議に思った次の瞬間、ジェスは「背中に」幾つもの黒い針を受けていた!
「づっ!?」
後ろかと思い振り返るが、そこにも、ブレッツの姿は認められなかった。そしてまたも黒い針を、今度は「横から」受けた。
「いだあッ!」
「ふふふ。面白いでしょ?コレ」
何処からか、ブレッツの声が聞こえる。然し、何処にもその姿は見て取れない。ジェスは当惑し、辺りを見回した。
そんな事をしている間にも、針に刺されたり、衝撃を受けたり、大変である。
「アンタに分かるのかしら?何が起こっているのか・・・」
「分かったら苦労しないんだがなあ―――最近の若者は年輩者に冷たいからな」
「・・・言っておくけどね、私がまだ人間だったら、きっとアンタより年上よ?」
聞こえた途端、またもや針がジェスに襲いかかった。これでは袋叩き・・・いや失礼、袋「刺し」である。
「冥土の土産に、教えておこうかしら」
月並みな台詞を言ったあと、ブレッツは続けた。
「私はね、姿を消す事が出来るのよ。アンタじゃ一生分からないままだったでしょうね。
―――あ、ゴメンね、訂正しておくわ。冥土なんて無いわね・・・『今のところ』は」
声が途絶えた。そして、針が・・・
「ガっ・・・」
ジェスは飛んできた針を掻い潜り、見えないブレッツをどうにか殴り飛ばした。
「なんだ。嬢ちゃん、消えてたのか・・・俺の頭じゃ気付かなかったろうな、確かに・・・
でも、ま、攻撃が飛んできたところに嬢ちゃんがいる事くらい分かるケドな」
ニカッと笑いながら、ジェスはガッツポーズを決めた。そのままブレッツの襟首を掴んだ。
「で、嬢ちゃんは、生きてたら何歳になってるのかな」
「ッ――――四十三ね・・・確か」
「残念だったな、俺は四十五なんだ」
勝ち誇ったように笑って、ジェスはブレッツに止めの一撃を放った。
すると・・・突き出された拳から、とにかく有り得ないくらい図太くどデカい、
レーザーのような光が放たれ、ブレッツを消し飛ばしてしまった。
「・・・・・・んお?」
何時も息子に叩きつけてる自分の拳が、何だか恐ろしく見えた、最初で最後の時だったりする・・・・・・
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