≪ZERO≫ 第一話:『破壊までの道』

限りなく広い、宇宙。
そこに彼は漂っていた。
自我は無かった。
だが、次第に…徐々にはっきりと、覚醒していった。
そして、初めてこの世界を見た。
彼は何をすべきか、わからなかった。
周りには、誰もいない。
自分一人だけ。
ふと、彼の目に丸い、綺麗な物が映った。
それは、ある平和な星だった。
する事が無い彼は、暇つぶしに行って見る事にした。

その星は綺麗だった。
緑が多く、自然が豊かだった。
彼が初めて見る、生き物。
空を飛んでいる鳥。
地を駆ける獣。
彼にとっては、驚きの連続だった。
その時だった。
彼の後からガサッと音がした。
彼は振り向き、後にいる何者かを見た。
それは、『人間』だった。
その人間は後ずさりながら、こう叫んだ。
「あ、あ…悪魔だ!!!」
その人間はどこかに走り去ってしまった。
彼はその言葉の意味が何故だかわかった。
そして、自分の姿が気になった。
彼は何故か使い方がわかっていた自分の力で、鏡を創り出した。
そこに映った自分の姿を見て、彼は愕然とした。
白い体に目玉が一つ。
これでは驚くわけだ、と彼は思った。
突如、彼は体に激痛を覚えた。
どこからか降ってきた…否、投げられた石が彼に当たったのだ。
彼は石が飛んで来た方向に振り向いた。
そこには、先程現れた人間と、他の人間がいた。
「出て行け!!悪魔め!!!」
「化け物!!!」
「出て行け!!!」
石を投げる者、武器を持ち襲いかかって来る者…。
彼は、瞬時に宇宙空間に移動し、その星を出た。
悲しかった。
自分は好きでこの姿になってのでは無い。
なのに、悪魔と…化け物と言われ、追い出された。
ナイフで深い傷をつけられたように、心が痛んだ。
しかし、彼は気を取りなおした。
そう、宇宙は広い。
だから、自分が安心して暮らす事の出来る星があるかもしれない。
自分が住める…自分を怖がらない者がいる星を探すため…、
彼は宇宙空間を飛んだ。
もしかしたら、彼は自分の生きる意味も求めていたのかも知れなかった。

何光年も、何十光年も飛び、数々の星に入っていった。
しかし、結局すべて同じだった。
自分を殺そうとする者さえいた。
彼は悲しんだ。
自分を理解してくれる者など、いなかった。
どうせこれから探しても、いないに決まっている。
彼はこの世界に絶望しきっていた。
悲しみを、孤独を我慢するのも疲れてしまった。
紅き瞳から流れ落ちる涙。
彼は、泣き続けた。

暫くして、彼は泣き止んだ。
彼の紅い目から光が消え、深い憎悪の闇が宿った。
悲しみが、憎悪に変わった瞬間だった。
彼は決意した。
今まで自分を悪魔と、化け物と言い、攻撃して来た…憎い敵を殺す事を。
彼はそれを行動に移した。
当然、彼等は抵抗した。
ゼロは傷を負った。
しかし、傷の痛みよりも、死の恐怖よりも、敵への憎悪が勝っていた。
ゼロは紅い目からビームを発し、一瞬のうちに敵を蒸発させる。
体当たりして敵を押し潰す。
彼が行った事のある星は、生物がいない死の星になった。

ゼロは傷だらけだったが、清々しい気分だった。
生物を殺した罪悪感など無かった。
彼は気がついた。
自分が存在している意味を。
破壊する事こそ、自分の生きる意味。
彼は『破壊』を行う為に生まれたのだ、と気がついた。
彼は喜んだ。
生き甲斐を…生きる意味、目的を見つけた。
…それから彼は、自分を『ゼロ』と名乗った。

To be continued...


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