≪ZERO≫ 第二話:『カービィ』

「ゼロ様…次はどの星を襲いますか?」
ゼロに敬う口調でそう言ったのは、黒い人のような姿をした黒い物体だった。
それは、ゼロが闇で創り出し、自我を持たせた手下…『ダークマター』だった。
ゼロは『闇』を集める為、ダークマター達に星を襲わさせていた。
闇はゼロ達の生きる為のエネルギーであり、力の源である。
つまり、闇が多ければ多い程、ゼロの力は上がって行く。
ゼロは強かった。
しかし、この広い宇宙に…自分を超える力を持つ者がいないとは言い切れ無い。
だからこそ、彼には強大な力が必要だった。
「…今日はもう良い、下がれ。」
「ハッ。」
ダークマターはゼロのいる空間から消えた。
ゼロは溜め息をついた。
こうもうまく行き過ぎると、退屈である。
もちろん、向かい来る者もいた。
しかし、ゼロの力には敵わず、消し去られた。
より強い敵を、彼は求めていた。
「…私は出掛けて来る。それまで、留守を頼む。」
そう言うと、ゼロは宇宙空間に飛び出た。
次に襲う星を探す為に。

宇宙空間を飛び続けていると、変わった星を見つけた。
まさしく星と言う形の星だった。
(変わった星だ…)
ゼロはそう思いながら、その星に入っていった。

ゼロはこの星のワドルドゥと言う生き物に体を変化させ、
この星に降り立った。
…色は白で、目の色は赤になった為、目立ってしまっているが。
この星は綺麗で、平和だった。
闇も少ししか無かった。
ゼロはこの星に住んでみたいとも、平和を壊す甲斐があるとも思っていた。
「ねぇ、君…この辺で見かけないね。誰?」
いきなり、声をかけられた。
ゼロが振り向くと、そこにはピンク色の丸い生き物がいた。
「…僕?僕はゼロ。」
普段使う口調ではなく、普段とは違う口調でゼロは答えた。
「ふ〜ん…ゼロ君かぁ…僕はカービィ!よろしくね!」
ゼロが名乗ると、カービィも名乗った。
「ここの星は何て言う星なんだい?
別の星から来たから良くこの星の事がわからないんだ…」
「それじゃあ僕が教えてあげるよ。
この星の名前は『ポップスター』って言うんだ!
ここは『プププランド』って言う国だよ!」
「国?と言う事は他にも国があるのかい?」
ゼロはカービィに尋ねた。
「ううん、無いよ。
だから別に国とか国の名前とか作らなくてもいいんだけど、
この国の大王がさぁ、気分的な問題だって付けたんだよ。
そうだ、僕がいろいろ場所を教えてあげるよ!」
カービィはゼロの手を引っ張り、走り出した。
ゼロは生まれてから初めて笑った。
心の底から笑ったのは本当に初めてだった。
冷酷な笑みなら浮かべた事は何度もあるが、楽しくて笑ったのは初めてだった。
それと同時に、この雰囲気が嫌だった。
自分の中の…闇が消されてしまいそうで。

時間はあっという間に過ぎた。
もう日が暮れて、夕日が紅く輝いている。
「綺麗だねー…」
「そうだね…」
カービィとゼロは赤く輝く夕日を見ていた。
「あ、そろそろ帰らなきゃ。」
ゼロはそう言い、カービィに礼を言った。
「今日は楽しかったよ。ありがとう、カービィ。」
「僕も楽しかったよ。また会えるといいね!」
カービィは満面の笑みを浮かべ、そう言った。
「じゃあね〜。」
「さようなら〜…」
ゼロはカービィに背を向け、歩き出した。
カービィは手を振っていたが、やがてゼロに背を向け歩き出した。
ゼロは歩き出して2、3歩の所で、カービィの方に振り向いた。
カービィは気づいていない。
(…こいつは…危険だ。)
ゼロは冷や汗を流していた。
(こいつには…カービィには…『闇が無い』。
絶対にあるはずの闇が無い…何故だ?
まるで光その物のような…純粋な心を持っている…。
もしかしたら…私以上の力が…)
より強い敵を求めていたはずだった。
しかし、カービィを見てそれが変わった。
(今なら…カービィも気付いていない。…殺せる。)
ゼロは手を前に出し、掌に闇のエネルギーを溜める。
やがて、赤い球体が出来上がった。
これが命中すれば、カービィを確実に殺せるだろう。
「………。」
ゼロは少し考え、やがて赤い球体を消した。
(…まあいい…今日の礼だ…。
それに焦らなくても闇を集め…、
後でカービィを殺せばいい…いつか、その日が来る。)
ゼロはワドルドゥの姿から本当の姿に戻り、自分が住む空間へ戻っていった。

実はカービィはゼロと会っていたのだ。
もし…あの時カービィが殺されていたら、
この物語はどういう結末になっていたのだろうか?

To be continued…


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