≪ZERO≫ 第四話:『ゼロが消える時』
ゼロは復活した。
ゼロは闇その物。
闇が消えない限り、彼は消えない。
だが、カービィによって消された闇は多く、
力は前の半分にも満たなかった。
ゼロはもう少ない闇からファイナルスターと言う自分の住む星と、
ダークマターを創り出し、命令した。
「…妖精が住む星…リップルスターを襲え。
そして闇を集めて来い…」
ダークマターはリップルスターを闇に染め、闇を集め始めた。
ゼロは自分の姿が変わっている事に初めて気がついた。
頭上に黄色いの輪が、赤い羽根が自分に付いていた。
頭にはバンソコウが貼られていた。
どうやら、体を完全再生するには闇が足りなかったらしい。
半分、彼は消えていた。
ゼロは暫く、ある事を考えていた。
何故…あの時、カービィとグーイに攻撃出来なかったのか。
その理由を考えている内に、彼は答えに辿り着いた。
彼は、重ねたのだ。
昔の…彼自身とグーイを。
共存を求め、宇宙を流離った時の彼の理想が、グーイだった。
ハッとし、辺りを見渡した。
リップルスターは元の明るい星に戻っていた。
ゼロは驚愕した。
しかし、驚いている暇は無かった。
キラリ、と光る物がやって来る。
…それは、ワープスターに乗ったカービィと、その仲間達であった。
ゼロは残り少ない闇でエヌゼットを創り出し、襲わせる。
しかし、軽く突破されてしまった。
(やはり…この程度の闇で創り出せる闇の魔獣では勝てぬか…)
そして…カービィとその横にいる妖精…リボンはゼロの前に現れた。
「何故貴様は私の邪魔をする…?」
ゼロはカービィに問うた。
「君のしている事が許せないからだよ。」
「許せない…?ククク…ハハハハハ!!!
まるで正義の味方みたいな事を…!!」
ゼロは笑った。
「何がおかしいんだ!?」
「星を襲って、何が悪い?」
ゼロはカービィに尋ねた。
「罪も無い人を襲って、良い訳無いじゃないか!!」
「何故だ?私には、住む所が無い。
だから、星を襲い、手に入れた闇で住む場所を創り出し…そして、
生きる為のエネルギーを得るしかない。
それも星を襲う理由だ。」
カービィは、すぐさまゼロに向かい、当たり前のように言った。
「だったら…だったら、
その星の人に住まわせてくれるように頼めばいいじゃないか…!」
「最初は私もそうした。
しかし…追い払われた。」
カービィは驚いた。
ゼロは続ける。
「私は何もしていなかった。
もちろん、その星の住民に危害を加えるような事も…。
しかし…奴等は『悪魔』と私を呼び、
星から追い払ったのだ!!
それから私はいろいろな星にいった。
そしてその星の住民に住まわせてくれるよう頼んだ。
だが、私は追い払われた。何故だかわかるか?
…私の姿が恐いからだ。
ただそれだけの理由で、私を…悪だと決めつけ…追い払った。
それだけの理由で…私の存在を認めなかった。
共存しようともしなかった…。」
カービィはゼロの言葉を黙って聞いていた。
「私は…破壊する。
…闇を悪だと考える世界など…消し去ってやる!!!
それを邪魔するのなら…貴様等も消えるがいい!!!」
「うわぁっ!!」
「キャッ!!!」
ゼロは目から赤い衝撃波を炸裂させた。
いきなりの攻撃に、カービィとリボンは避ける事は出来なかった。
リボンは一瞬気を失ったが、カービィの呼ぶ声で何とか目覚めた。
そして再びカービィを抱えて飛び始める。
「…カービィ…どうするの?」
リボンの問いにカービィは答えず、カービィは叫んだ。
「…君がこの星やポップスターを襲う理由はわかったよ。
だけど…皆が皆そうって訳じゃない。
君を受け入れてくれる人が…いるはずだよ。」
「いるはずがない。
私は宇宙をまわり、探した。
しかし、全て私を拒む者ばかりだった。」
「…僕は君を受け入れるよ。」
「!?」
ゼロは驚愕した。
あの頃探し求めていた物が、ここにあった。
「…信じられるか!!!」
…本当は嬉しかった。
喜びたかった。
しかし、もう戻れない。
戻れるはずがなかった。
ゼロは攻撃を始めた。
カービィとリボン…そしてゼロの激しい攻防が始まった。
ゼロは赤い衝撃波を放ち、カービィとリボンはそれを避け、
クリスタルから放たれる光線で攻撃する。
ゼロは以前より実力が劣っている為、圧倒的にカービィの方が有利だった。
(…クッ…ここまでか…!!!)
ゼロは動けない状態になった。
体を構成している闇はほとんどが消え失せている。
「もう…やめなよ…」
カービィが突如、ゼロに言った。
ゼロはカービィを見て驚いた。
カービィは泣いていた。
「…何故泣く?私は…貴様の敵だ。」
「敵も味方も…関係無いよ。
僕は…誰かを傷つけるのは…もう嫌なんだよ…。
お願いだから…もうやめてよ。
これ以上やっても、君が倒れるだけだよ…。
大人しく帰ってくれれば…僕はもう…これ以上…攻撃しないから…」
しかし、ゼロの覚悟はもう決まっていた。
「この少ない闇では、どうせ数日しか生きられ無い。
死を待つよりは…」
ゼロの周りに、多数の赤い球体が出来上がった。
これを放ったら、ゼロは恐らく死んでしまう。
「貴様等を倒し…道連れにしてやる…!!!」
「お願いだから…やめてよ…。
『また』、君と遊びたいんだよ…。」
「…!!…気づいて…いたのか…!?」
ゼロは驚愕した。
信じられないと言う風に。
(あの時、うまく変装したはず…なのに、バレていた…?)
気づいていないのかと思っていた。
もう、『あのゼロ』は忘れているのかと思っていた。
カービィがそう言った瞬間に、初めてポップスターに来た時の光景が頭に浮かんだ。
「何時…気がついた…?」
「君がポップスターを襲った時だよ。
今からでも遅くないよ…だから…」
「………私はもう疲れた。
それに、もう戻れない。」
「戻れるよ。だけど…今の君では、無理だよ。」
ゼロは赤い球体を消した。
攻撃出来なくなってしまった。
その時初めて気がついた。
自分では、カービィは殺せない。
憎悪や、殺意が嘘のように消え失せてしまった。
「…カービィ、私を殺せ。」
「出来ないよ!!」
ゼロの言葉に、カービィは驚いて答える。
「もう、生きていても仕方ない。
それに…今の私では…無理なんだろう?
だったら…お前の手で…終わらせてくれ。」
カービィはクリスタルを構えた。
クリスタルに光が集まる。
その時、カービィが何を言っていたようだが、ゼロには良く聞こえなかった。
カービィはクリスタルから光を放ち、ゼロに命中させた。
ゼロは激しい光と共に爆発し、ファイナルスターは爆発した。
そして、彼は消えた。
闇はもう残っていない。
彼は、消えた。
だが、カービィは彼が消える事を許さなかった。
To be continued…
次の話を読む
前の話を読む
読むのをやめる